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はわわわわわ…(;ω;)
朝の校舎は、音が多い。
ドアの開く音。
椅子を引く音。
笑い声。
その全部が、
すちには、遠かった。
席に座っても、
体が、そこにないみたいだった。
(……今日は、平気)
そう言い聞かせる。
言い聞かせないと、
立っていられない。
一時間目。
先生は、すちを見た。
一瞬。
値踏みするみたいな目。
「すち」
まただ、と思った。
「プリント、配れ」
理由はない。
断れる空気もない。
立ち上がると、
視線が集まる。
「まだ生きてたんだ」
小さな声。
「しぶとい」
笑い。
すちは、聞こえないふりをした。
(……大丈夫)
(助けなんて…いらない)
でも、手が震えた。
紙が、少し落ちる。
「遅いな」
先生の声。
「それくらい、ちゃんとやれ」
その一言で、
何かが、ひび割れた。
休み時間。
廊下。
人の流れに、
うまく乗れない。
背中に、ぶつかられる。
「邪魔」
誰かの肘。
誰かの舌打ち。
(……俺が、悪い)
そう思い込もうとして――
できなかった。
胸が、苦しい。
息が、浅い。
視界の端に、
見覚えのある影。
みことだった。
話しかけられたくなくて、
目を逸らす。
でも、足が動かない。
「……すち」
名前を呼ばれた。
その声は、
強くも、優しくもなかった。
ただ、
ちゃんと“向けられていた”。
「顔色、違う」
否定しようとした。
「平気」
そう言うつもりだった。
でも――
声が、出なかった。
喉が、詰まる。
「……大丈夫じゃないだろ」
みことの言葉は、
決めつけじゃなかった。
問いかけだった。
すちは、首を振ろうとした。
(言ったら)
(迷惑になる)
(また、失う)
その考えが、
一気に浮かぶ。
でも――
胸の奥が、限界だった。
指先が、ぎゅっと握られる。
「……行こう」
みことが言う。
「ここ、無理だ」
拒めば、
ここに一人で戻るだけ。
それが、
急に、怖くなった。
(……いやだ)
心の奥で、
小さな声がした。
すちは、
うなずいた。
それだけ。
廊下を歩く。
みことの後ろ。
何も言わない。
でも、
一人じゃない。
それだけで、
胸の痛みが、少しだけ和らいだ。
(……助ける、って)
(こういうこと、なのかも)
まだ、分からない。
でも――
拒めなかった。
拒みたく、なかった。