テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
かきだめやめよ、こうしてとうこうしてっちゃうし
保健室は、静かだった。
カーテンが半分閉まっていて、
外の音が、少し遠い。
ベッドに座らされて、
すちは、床を見ていた。
「……無理に話さなくていい」
みことの声。
距離は、近すぎず、遠すぎず。
それが、逆に苦しかった。
「……俺」
言葉が、喉で止まる。
何を言えばいいのか、
分からない。
「みんなさ」
小さな声。
「俺のこと、いらないって」
目を上げられない。
「家でも」
「学校でも」
「……ちゃんとできない俺が悪いって」
言葉にすると、
胸が、ぎゅっと縮む。
「助けられるの、嫌で」
「迷惑になるから」
「……拒んでた」
そこまで言って、
急に、立ち上がろうとした。
足が、ふらつく。
世界が、少し傾いた。
「……っ」
声になる前に、
体が、前に倒れそうになる。
その瞬間――
みことの腕が、すちを支えた。
抱く、というより、
転ばせないために引き寄せただけ。
でも、距離は、一気に近くなった。
「無理すんな!」
低い声。
すちは、
みことの胸元に、顔が近いことに気づいて、
息を止める。
(……近い)
カーテンの向こう。
「……見てた?」
ひそひそ声。
いr((以下略
偶然、じゃなかった。
様子がおかしいのに気づいて、
こっそり、様子を見ていた。
と、こさめ。
「え、今のびーえr…」
途中でいうのをやめた。
「どういう状況?」
「こういう関係なのかな…」
誰かが、冗談めかして言いかける。
でも――
すちの顔を見て、
言葉が止まった。
青ざめて、
必死に立とうとしている。
冗談にできる空気じゃない。
「違う」
みことが、はっきり言った。
声は、低いけど、落ち着いている。
「倒れるところだった」
それだけ。
それ以上、説明しない。
なつたちは、
何も言えなくなった。
すちは、
やっと、息を吐いた。
「……ごめん」
反射的に、そう言ってしまう。
みことは、
すちを離しつつ、目を見た。
「謝ることじゃない」
言い切りだった。
すちは、
初めて、目を逸らさずに見返した。
「……俺」
声が、震える。
「必要、ないって」
「ずっと、思ってて」
そこまで言って、
言葉が、崩れた。
「……助けてって」
「言っていいのか、分からなかった」
保健室は、
また、静かになった。
カーテンの向こうで、
誰かが、そっと引き下がる気配。
冗談も、
噂も、
この瞬間だけは、なかった。
みことは、
少しだけ、間を置いて言った。
「……今は」
「ここにいる」
それだけ。
でも、その言葉は、
すちにとって、初めての形だった。
コメント
1件
(;●;)