テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「開かないんだけど!?」
「だから何回も引っ張んなって!!」
「いやだって開かないじゃん!!」
「見りゃわかるわ!!」
校舎の出口。
俺たちは、さっきから扉を押したり引いたりしていた。
開かない。
鍵が掛かっているわけでもない。
扉が壊れているわけでもない。
ただ、開かない。
向こう側に何かが詰まっているみたいに。
「……おかしい」
ぴくとが扉に手を当てた。
「外側から何かされてる感じじゃないんですけど……。そもそも、こんな結界の反応、俺は――」
「後ろ!!」
ぐちつぼの声で振り返る。
廊下の奥。
暗闇の向こうから、怪物たちが押し寄せてきていた。
「いや無理無理無理無理!!」
「ぴくと、何とかしろ!!」
「何とかって何を!?俺、扉を開ける能力は持ってないんですけど!!」
「じゃあ新しく生み出せ!!」
「無茶言うな!!」
ぐちつぼが斧を構える。
俺も腕に力を込めた。
でも、数が多すぎる。
このままじゃ、いずれ押し切られる。
どうすればいい。
何をすれば、こいつらは消える?
――核。
頭の奥で、何かが囁いた。
「……核?」
思わず呟く。
モンスターの胸の中にある、黒い核。
あれを壊せば倒せる。
でも、全部の怪物に核があるなら、いったい何個壊せばいい?
……いや。
違う。
全部が同じ方向を向いている。
全部が、何かに繋がっている。
だったら。
「……元があるんだ」
「は?」
「こいつらの、元になってる何かがある!」
俺は廊下の奥を見た。
怪物たちの胸の中にある黒い核。
それらを繋ぐように、床の下へ伸びていく黒い線。
その先。
校舎の中央にある、階段の踊り場。
そこに、他のものとは比べものにならないほど大きな黒い塊があった。
「……あれだ」
「らっだぁ、何が見えてんの!?」
「説明はあと!!」
俺は走り出した。
「おい、待て!!」
ぐちつぼとぴくとの声が聞こえる。
怪物たちが一斉にこちらを向いた。
伸ばされた腕が、制服の袖を掠める。
「邪魔だああああああ!!」
青鬼の力を解放するように力を込める。
腕が青く染まり、身体の奥から力が湧き上がった。
血が、減っていく感覚。
構っていられない。
俺は踊り場まで駆け上がり、巨大な核に拳を叩き込んだ。
――ばきん。
乾いた音が響く。
一瞬、世界が静止した。
次の瞬間。
廊下を埋め尽くしていた怪物たちが、砂のように崩れていった。
黒い核が砕け、音もなく消えていく。
そして。
「……終わった?」
ぴくとが、呆然と呟いた。
「……たぶん」
「たぶんって何だよ……」
ぐちつぼが壁にもたれた。
そのとき、出口の扉が、かちゃりと音を立てて開いた。
「帰れる……」
俺はその場に座り込みそうになった。
本当に、帰れる。
もうあんなのは見たくない。
二度と。
絶対に。
「……らっだぁ」
ぐちつぼに呼ばれ、顔を上げる。
「お前、腕」
「え?」
自分の右腕を見る。
青鬼の姿から戻りきっていない皮膚が、肘のあたりまで残っていた。
すぐに戻るはずなのに。
指先が、妙に冷たい。
「……ああ。ちょっと、疲れただけじゃない?」
そう言って、袖を引っ張った。
その瞬間。
誰もいない階段の上から、声が降ってきた。
――よくできました。
俺は、息を止めた。
ぐちつぼも、ぴくとも、何も言わない。
聞こえたのは、俺だけだったのか。
それとも。
「……帰ろうぜ」
俺は立ち上がった。
もう、振り返らなかった。
NEXT=♡1000
#二次創作
ふゅう@不定期
21,358
31
#꒰ঌ匿名ちゃん✟໒꒱
꒰ঌ 匿名ㄘャん ✞ ໒꒱
37,072
コメント
2件
見るの遅れた! 今回もさいっこうです!次の展開が楽しみだぜ…!