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「えっと……佐伯佳奈さん?」「いかにも、私が佐伯佳奈でございますが………」
朝倉くんに、このみちゃんとどうすれば会えるか聞かれた翌日、まさかまさか、このみちゃんが私の所にやってきた。。
普通、情報屋の下に来るのは主人公、つまり朝倉くんだけのはずで、ヒロインと情報屋が絡むのは、大きな学校行事イベントくらいのはず。
思ってもみなかったイベントが起こったので、いつもの調子が出ず、ちょっとぎこちない感じになってしまった。
「佐伯さんが、朝倉君にわたしの事を紹介してくれたって本当?」
「ええ、本当ですよ」
このみちゃんは、おずおずと聞いてきた。
私は、どうにか取り繕って、情報屋らしい飄々とした態度で答える。
「あ……ありがとう。お蔭で、朝倉君とお喋り出来て……すごく楽しかった」
このみちゃんは、朝倉くんとのひとときを思い出したらしく、頬をポッと染めて、恥じらう仕草をしている。
誰がどう見たって、恋する乙女の顔である。そう思って、頭上の好感度数値を見れば、なんと84%。
おおぅ……この娘大丈夫か。いくらなんでもチョロすぎないか。多分もう、朝倉くんと二人でお参りに行ったら、スタッフロールが流れるぞ。
「佐伯さんは……その……朝倉君と、本当に友達なだけなの?」
「友達………、まあ、友達と言えば友達ですね。どうしてそんな事を?」
友達と言ってもいいのか。情報屋と顧客という関係で、それ以外の関係はほぼ無いから、友達とも違うような。
とは言え、高校でそのくらいの関係があれば、友達と言えるような気もする。
「あの……、佐伯さんも、もしかしたら朝倉くんの事が好きなんじゃないかって……」
「えっ………」
思わず、言葉に詰まる。
正直、好きと言えば好きだ。恋愛的に。
だけど、私は攻略対象じゃないモブ。恋愛しても無駄な事が分かっているから、情報屋ポジションに我が身を捩じ込んだ訳で。
「ふふふっ、でも、わたしに朝倉くんを紹介してくれたって事は、きっと本当に友達なだけなんだよね」
こちらの困惑をこのみちゃんは、全く恋愛感情が無い故の困惑だと捉えたらしく、優しい笑顔で、こちらを安心させるような声色で言ってきた。
その反応は、はっきり言って誤解なのだけど、誤解をしてくれていたほうが都合がいい。
「左様でございます、朝倉くんとはお友達。ま、あれだけ容姿が整っていらっしゃるので、格好良いなくらいは思いますがね」
私が言い終わると、このみちゃんは安心とおかしさでうふふと笑い、手を胸の前で合わせた。
「うん、朝倉君かっこいいよね!」
ここで満面の笑顔になったこのみちゃん、目の前の私がライバルじゃないと分かった安心感と、推しを褒められた嬉しさとで、ニッコニコである。
そして、頭上の好感度数値が、また上がって85%。本当に大丈夫かこの娘、今は朝倉くんと会ってもいないんだぞ。
「そうだ、佐伯さん、もし良かったら連絡先を交換しない?」
「良いですよ、喜んで」
正直、このみちゃんのステータスを調べた時に載ってたから、住所も電話番号も知ってるのだけど、そうやって得た情報は流石に使えないから、連絡先が手に入るのはありがたい。
「じゃあ、交換したし、改めてよろしくね、佐伯さん」
「こちらこそ、今後ともよしなに」
朝倉くんと、くっつけはしないから、女の子達と仲良くなるのもアリかもしれない。
出来ることなら、今度お茶でも………は無理か。学校から離れたら、このみちゃんも描画範囲外で消えちゃうんだろうなぁ。
「今度、お昼でもご一緒しましょうか」
「うん! 楽しみにしてるね」
となると、交流するなら校内となるわけで、お昼にでもご一緒させていただこう。
放課後は、朝倉くんとデートして青春してればいい。
校内でも、あんまりこっちがベタベタしてると、朝倉くんの出番が無くなってしまうから、匙加減を間違えてはいけないけど。
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あの娘が、佐伯さんだったんだ。
図書館に来て、本を見るでもなく、借りるでもなく、わたしを見つめて帰っていった、あの娘。
あの時は、なんの用で来たのか分からなかったけど、きっと、朝倉君とわたしが会えるように、確認してたんだと思う。
佐伯さんのおかげで、朝倉くんと仲良くなれたし、佐伯さんとも友達になれた。
佐伯さんは、わたしのキューピット。そのキューピットとお友達だなんて、なんだか不思議で面白い。
たしかに、ちょっと変わった人だけど、とっても親切でフレンドリーで優しい人。
わたしを幸せにしてくれるだけじゃなくて、佐伯さん自身にも、素敵な恋が訪れますように。
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ゆうクロ。
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