TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「やっぱり不思議な街っすねー」


私は宿に入って案内された部屋で荷物を下ろしてそうひとり呟く。


「他の国と違って魔術の使える人が殆どいないのに、あんなのがいるんすもんねぇ」


夕食の時間まではまだある。歩き疲れてる脚を労いベッドで横になるっす。


「えっ⁉︎ 何このベッド! 柔らかいっす。どうなってるんすか、これ? 魔道具っすか⁉︎」




翌日は朝から雨っす。昨日はあんなに晴れてたのに、結構な本降りじゃないすっかー。


朝ごはんをモリモリ食べて早く街の散策にでも行きたいのにっすよー。


こんな天気にはあまり出歩く人はいないみたいっす。傘をさしているひとも少ない。


ぼーっと窓から外を眺めていると、1人の大きな男の人が傘もささずに歩いていくのが見えたっす。


それなのに全く濡れていない。


あの人も、そうなんすねー。身体の周りにうっすら魔力が見えるっす。あれがあるから濡れてないんすね。


昨日のビリーさんって人は不思議だったっす。獣人種じゃなさそうだったから、たぶんヒト種族なんでしょうっすけど……それならなんでミーナちゃんから魔力を借りるんすかねえ。


ミーナちゃんは確かに普通の存在ではないっす。けど魔術を使うだけなら、外に働きかければいいっすから魔力なんて借りるほどに必要はないっすのに。


そういえばこの街には当たり前に獣人種がたくさんいるのに、何であんなに興奮してるのかって聞いたら「獣人の小さな女の子を見つけたらいつもあんな感じなのっ」とミーナちゃんは言ってたっすね。その意味でも不思議っす。


私は朝食を済ませて、この日は一日中ゴロゴロして過ごしたっす。




晴れ! 次の日は昨日の雨が嘘のような晴れっす。


外に出て、水溜まりとか気をつけなきゃなぁとか思ってたっすけど、無いっす。水溜りが。


「ああ、この街は下水道ってのがあるからねぇ。そこに排水溝が水はけをよくしてるって事らしいよ」


宿のおかみさんに聞いてみるとそう言う事のようっす。


魔術ではなく、そういう仕組みっすか。これはこれで凄いっす。


気を取り直して外に出て歩き始める。この街の匂いには嫌なものがないっすね。腐っていたり、汚物だったり。みんな清潔っすから。なんで宿の部屋に風呂なんてのがあるっすか。どこの高級宿かと思って支払いが心配になったっす。だから改めて見てここではこれが普通なんすね。みんな清潔っすから。




とりあえずどこの国でも街でもあるとされる冒険者ギルドに来てみたっす。


ここでなら魔術士も、少しくらい……あれぇ? 何でみんな鎧着てないっすか? というか武器も殆ど装備してないし。


依頼掲示板を眺めてみてそれも納得したっす。殆どが生活関連のもので、魔獣討伐依頼は無し。食肉調達と害獣駆除があるくらいで、それ以外なら武器も鎧も確かに要らないっすね。ここはそれほどまでに徹底して平和なんすね。


「魔獣は殆ど出現することがないですね。あとは肉食の野生の獣が出たりしますけど、それは危険なのでいつも決まった人にお願いしてますから。掲示板の依頼はあんな感じなんですよ」


というのは職員のお姉さん。虎獣人のお姉さんは暴力なんて知らない風で平和に馴染んでいるっす。

loading

この作品はいかがでしたか?

38

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚