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昼食を食べながら情報収集して外に出ると、昨日の大きな人を見付けたので声を掛けて見たっす。
「え? あー。これは俺がスキルを使いこなすためのトレーニングなんだ」
「スキル? 魔術じゃなくてっすか?」
スキルとは一体何なんすかね? どう見ても魔術なんすけどねぇ。
「そう。俺は巨人族のクォーターなんだけど、教えられるまで知らなくってな。使いこなせるまではいつまでもこうして鍛えるのさ」
「なるほど? この大きな人は巨人族だったっすか。外ではもう余り見なくなった最強種のひとつっすね」
すると途端に巨人種の男の人の空気が変わって
「そう! この街の最強の巨人ってのは何を隠そう、この俺ジョイスのこと! お嬢ちゃん、俺の最強たるその力──見たいかい?」
なんかギラギラしてて怖いっすけど、こんな街中でとはいえ見せてくれるなら見たいっす。
「いいんすか? ならそのスキルってのを見せて欲しいっす」
なんだか人を集め出したっすこの人。大人から小さな子どもまで……というかミーナちゃんも混じって“最強! 最強!”って子ども達とコールしてるっすよ。
「ふふん。そんなに見たいのであれば、今日は旅のお嬢さんのリクエストという事で! 弾けからの、纏魔のコンボで行くぞっ! ふぅんっ!」
瞬間、何かのポーズをとったジョイスさんの筋肉が盛り上がり、服が弾け飛んだっす。気のせいか横の方で風が通り抜けたような。
そこからポーズを変えて、青い魔力の塊がジョイスさんの周りを覆って巨大化していくのが分かるっす。
するとそこに何処から飛来したのか、鋭い矢が2本立て続けにその魔力の中にいるジョイスさん目掛けて刺さり、あと数センチで肉に届くところまで食い込んだっす。
「こんっの、変態はっ! また街中で裸になってそんなの子どもに見せて喜んでえっ!」
その叫びが聞こえた時にはさらに矢が4本突き刺さっていた。子どもたちが“キタキターっ”と跳ねながら喜んでいるっす。
「ちょっ! 先輩マジでこれは勘弁してくださいっ、矢が怖い! 何で纏魔を貫通してるんですか⁉︎ ひっ⁉︎」
ジョイスさんが叫ぶ間にもう2本。
「ちょ、今回は旅のひとにせがまれて仕方なく……ってそれマジの時の構えっすよね? やめて先輩ぃっ!」
やっと見つけた弓矢の主は、金髪の髪を靡かせる美少女エルフではあるっすけど、その顔には変態と罵った嫌悪感を浮かべて弓を思い切りひいた構え。
その矢に緑に渦巻く魔力が集まって、それがとても綺麗で見惚れているうちに放たれたっす。大人たちの歓声も最高潮っす。
放たれたそれはさっきまでの矢とは全く違う次元の一矢。
ジョイスさんの纏魔の魔力を軽く突き破ってもろとも引きちぎりながら上空に消えていったっす。
「避けるなあーっ! この変態ぃ!」
「避けますよ! あんなの⁉︎ 見てくださいよ、俺の魔力半分以上吹き飛んでて、喰らってたら死んでますよ⁉︎」
「大丈夫よ! ジョイスなら何となく生きてそうだし!」
そう言ってまた弓を構えるエルフ。ちょっと顔が楽しそうっす。
「ちょっ⁉︎ そういう事で、旅人さん、スキルはもう……充分だよねえぇっ! さようならっ!」
「さようならっすー……」
ジョイスさんはそう言って走り去り、別れの言葉の最中にも矢を飛ばしていたエルフはさらに矢をつがえながら追いかけて行ったっす。
あれ? ミーナちゃんはいつの間にどこに行ったっすか?