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……ゲート。
鞄から冒険者証を取り出し、震える指でゲート発生の緊急通報の手続きを進める途中で、周りに最近何故か分かるようになった殺気が撒き散らされ、悲鳴が上がった。画面から目を離し、辺りを確認すると、悪魔型のモンスターが何十体も発生していた。
……スタンピード!?
緊急通報の内容をゲート発生からIFL発生に切り替えて送信ボタンを押して通報の手続き終了。
急いで校門に向かって避難しながらモンスターの動向を確認すると。
ヤツラ、人間を只襲うのではなく、ゲート内に攫ってやがる!?
校門に到着するとポケットからカードの束を取り出し、辺りにばら撒く。
MP保管容器の蓋を開けて左手を当ててMPを自分に取り込みつつ全身に循環させた後に
「臨!兵!闘!者!皆!陣!列!在!前!!!」
と叫びながら九字の印を切り、体内のMPを右手に集めて、右手が発光し出した辺りで、右手で空間に六芒星を描いて、
「ドワーフ!王王王!セキロー!佐助!バルク!エインセル!黄泉大毘売命! …剛武!キラービー!」
この場に呼べる全モンスターと、念の為家の方にも…剛武とキラービー達を呼び出しておく。
カードからゲートが発生してそれぞれのゲートからモンスターが出てくる。
「ルドルフ!パターンD!総力戦だ!城と頼んでいた装備一式よろしく!」
「セキロー!佐助!俺の家に一度戻っていつも使ってたバッグ取ってきてくれ!」
「王王王は人間を捕まえていない小物を、バルクさんは大物を!」
「ヒメちゃん達は城が出来次第、黄泉待人と黄泉戦人を呼んで怪我人の手当と防衛線の構築をお願い!」
「あたしは!?」
「エインセル、君は自己判断で各員の援護頼む。」
この時点でドワーフのゲートから小野麗尾城の資材の持ち出しが終わり、城壁の建設が始まった。
打ち直しを頼んでいた俺の防具と装備類もリミカちゃんが運んできてくれたし、アイテム類もセキローと佐助が取ってきてくれていた。
装着が終わったので、更衣室代わりに使っていた資材の陰から身を乗り出すと、さっきのレポーターさんが俺に声を掛けようとして、
「あっ、小野麗尾さん。あちらの黄泉大毘売命さんについて……キャアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァ……!!!!!」
叫ばれた。解せぬ。
「モ、モ、モ、モンスター!モンスターがここに……!!!!!」
誰がモンスターか。兜の前面部を上げて顔を出して声を掛けると、ようやく落ち着いたようで、
「た、大変失礼しました。でも、その装備は?」
「ああ、ドワーフに意匠として昔のゲームのボスキャラクターの造形で作らせてみたんですよ」
今は亡きセガサターンのこれまた今は亡きハドソンのアドベンチャーゲームの「VIRUS」というソフトのレッドクローというボスをモチーフにした全身鎧である。こないだのコンペで合格だったドワーフにビール樽3つで依頼を出した一品物である。右腕の大爪腕をギミックで右肩から展開・格納が出来、武器を失った日も安心設計である。爪にもギミックを仕込んでもらったが、使う日は来るんだろうか……脚部のパイルバンカーよりは使い処はありそうだが。
ドワーフ製のオーダーメイド装備の宣伝の一つとして実際に使って居る所を見てもらおうと思ったんだが、この反応だと失敗したかな。
本格志向のコスプレとして売り込むしかない……か?
まぁいいか。そんなことよりルドルフのとっつぁんに聞かねばならんことが。
「お~い!ルドルフ~! 設計図投げたの昨晩なのにどうしてもう出城の包囲網が出来てんの!?」
黄泉戦人を指揮している戦国オールスターズの皆様から、
「ちぃとじゃ!こんなんちぃとじゃあああああ!?」
と猛抗議が。はいは~い、もう少しで皆でゲートに凸るから大人しくしてくださいね~
「おう、いつ攻め込むんじゃ?」
「攫われた人の安否が気掛かりだしもう攻め込みたいけど、後詰が来てからかな?」
防衛隊の初動部隊を迎えてから反撃開始かな?
スタンピード時のダンジョンの攻略ノウハウとか開示されていなかったしなぁ。
10分後、現着した部隊の出迎えに門の上から手を振ったらヘッショ!喰らいましたが私は元気です。