コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第35話 美里の過去2/2
前回までのあらすじ
美里が現実世界に帰ってきた。以上。
「戻ってきたけど…この後どうするか」
「美里!」
「あ、本物のお母さん」
「な、何言ってるの?」
戻ってきたはいいけど、びしょ濡れで寒いな。
「お父さんは?」
「お父さんは美里を助けに行こうとして流れちゃったんだよ」
「…ッ!」
「ご、ごめんね。言葉が怖かったね」
私の…私のせいで…お父…さん…が…し…死んだ…。私が…お母さんの言われた通り早く上がっていれば…。
「美里が悔やむ必要ないんだよ。私が悪かったんだから」
「お母さんは何も悪くないよ!私が!私が早く上がっていれば起きなかったんだから!」
「運命は変えられない…たとえどれだけ早く上がったとしても…お父さんが死んじゃうのは…決まっていたことなんだ…」
「そんなわけない!運命は変えられるんだ!」
そもそも運命ってなんだ?
「変わらない…どんな選択をしたとしても…同じ結末になる…」
「もう…いいよ。私が罪滅ぼしってやつやってくるよ」
「…。死ぬ事がお父さんに対する罪滅ぼしなの?」
「そうだよ。お父さんも私のせいで死んだって憎んでると思うから」
「本当にそうなの?」
「…どういうこと?」
なんで、お父さんは私に死んで欲しいって思っているはず…。
「お父さん、美里を最後に抱いた時どんな顔してたと思う?」
「普通に、睨んでたんじゃ…」
「お父さん、美里を抱いた時、『笑顔』だったよ」
笑顔…。笑顔…か。
「でも、それが私の死んじゃダメな理由じゃないじゃん」
「その時、私にも一言言ってくれたの」
「な、なんて?」
「…。『美里をよろしくね』って」
その時、私の視界はボヤけていた。突然目が悪くなったのか…それとも…この胸の内から湧き出てくる感情によるものなのか。
私は叫び、目から水を流し、お母さんに飛びついた。お母さんは「大丈夫。大丈夫」と何回も言ってくれたが、私の思いは止まらなかった。
「グズん…グズん…」
「もう大丈夫だよ。私と一緒に暮らそう」
「うん…うん…」
「……。いい事するじゃあねぇか。姉ちゃん、空気を読めないただのアホかと思ったけど、な。さてと、俺もどうにかしないとな」
これが…私の過去。