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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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誠実で優し過ぎるその言葉に、息ができないくらい苦しくなった。



彼氏でもない正孝君に、いつまでも甘えちゃダメだってわかってる。



きっと……彼女だっているだろうし。



でも「お願い助けて」って、勝手にまた心が叫んでた。



あの時と同じように。



『真美ちゃん?』



『正……孝く……』



言葉にならない声。



『ねえ、今から会える?』



『え……?』



今度もまた……私の気持ち、正孝君にさとられてしまった?



この人には全部わかるんだね。



他人のつらさを感じられる心底優しい人。



その優しさに、やっぱり私は甘えてしまいたくなる。



『あの公園。あそこに1時間後に行くから。いいね』



『でも、こんなバカな私のために……わざわざ来てもらうなんて……』



『何言ってるんだ。すぐ行くから。公園まで気をつけて来て』



そんなことまで心配してくれるの?



きっとめちゃくちゃ忙しくて疲れてるはずなのに、本当に…ごめんね。



公園に着いて待ってたら、正孝君が息を切らしながら私の前に現れた。



駅からここまで走って来てくれた?



小さな夜の公園には、今日も誰もいない。



全くの2人だけの空間。



荒くなった息遣いが治まらないうちに、



『ごめん……待たせて』



って、優しい声で言ってくれた。



正孝君、全然、変わってない。



ううん、見ない間に男らしさがずいぶん増した気がする。



お父さんの会社に就職したって言ってたけど、何ていうか……すごくカッコいい。



再会して、改めて思った。



私をフッた彼氏よりも、正孝君は何倍も何万倍も素敵な人だって。



学生時代は、たぶん、この見た目に慣れてしまってたんだろうか。



目の前にいるこの人は、息が乱れてても、まるで白馬の王子様みたいにキラキラしてて、公園の薄暗さの中でも眩し過ぎる程輝いて見えたんだ。



『真美ちゃん、何かあった?』



真剣な眼差しで私を見る。



『正孝君、仕事は? 大丈夫だったの? 急に……ごめんね』



私の声は少し震えてる。



『謝らなくていいよ。今日は、仕事が早く終わったんだ。だから電話した。最近、ずっと残業だったから。早く連絡したかったけど、真美ちゃんの携帯通じないし、お父さんの会社も遅い時間だと誰も出なかったから』



『ごめん……』



私は頭を下げた。



本当に申し訳ないと思った。



『心配した』



ポツリとつぶやいたその一言に、私は胸がキュッとなった。



『正孝君、私ね……一緒に日本に戻ってきた彼氏に……すぐにフラれたの』



『えっ?』



『5年も付き合ってた彼女がいたのに、私と付き合ってたんだって。それなのに私にプロポーズしたんだよ。ひどいと思わない? 情けなくて笑っちゃうよね。本当に……ひど……いよね』



涙が、どんどん溢れる。



無理に笑おうとした私のこと、正孝君はギュッと抱きしめてくれた。



本当に、いつだって優し過ぎる。

あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~

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