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『忘れろよ。そんな最低な男。今度こそ俺が真美ちゃんを守るから。俺が学生時代にちゃんと言わなかったから……そのせいでこんなつらい思いをさせてしまった』
『正孝君?』
『俺、真美ちゃんが好きだ』
えっ……嘘……
今の……本当?
『初めて食堂で真美ちゃんを見た時からずっと好きだった。卒業する時、告白するつもりだったのに……なのに、留学したいって聞いた途端何も言えなくなった。本当に情けない』
『そんなこと……』
『あの時、フラれたらどうしようとか、2年間遠距離になることとか、いろいろ考えてしまって。でも、今すごく後悔してる。ちゃんと勇気を出して真美ちゃんに告白するべきだったって。遅くなったけど、ちゃんと言わせて』
この胸の高鳴り、どうしようもなく体が熱くなる。
『真美ちゃん、俺と結婚を前提に付き合ってほしい』
正孝君は、抱きしめる腕を緩め、私の目を見てそう言ってくれた。
感動的で情熱的な……まるで映画みたいな告白。
フラれて間もないっていうのに、私、素直に嬉しかったんだ。
正孝君のこと、私も好きだったんだって……やっとわかった。
もしかして、こうなることを本当はもっとずっと前から望んでいたのかも知れない。
『こんなダメな私でいいの?』
『ダメじゃない。君は可愛くて優しい人だ。本当に素敵な女性だよ。俺は、真美ちゃんと一緒にいたい。離れてた2年でわかった。本当に好きな人と一緒にいること……それがどんなにかけがえのないものかって』
私は、その言葉を聞いて、もう何も迷わずに正孝君の胸に飛び込んだ。
『絶対離さない』
『ずっと……側にいたい』
それから、私は、毎日正孝君に守られてる感覚に包まれて、心も体も元気を取り戻すことができた。
人に振り回されてきた自分とサヨナラして、この人のために生きようと……
そう決心した。
しばらくして正孝君は、指輪と花束を手にプロポーズしてくれ、私達は結婚することになった。
すぐに、うちの両親に挨拶に来てくれて、父も母もものすごく喜んでくれた。
『今、ようやくわかりました。あなたは、うちが1番大変な時に手を差し伸べてくれた榊グループの御曹司だったんですね。まさか、真美の友人がそうだったなんて……その時は思いもせず。気づかなかったこと、本当に許して下さい』
父は土下座した。
そんな父の体に優しく触れ、正孝君は「土下座なんて必要ありません、さあ、立ち上がって下さい」と言ってくれた。
『私が言わなかっただけです。あの時、私の父は、そんなに素晴らしい製品ならすぐに仕事をお願いしたいと言いました。ずっとお父さんが頑張って信頼を勝ち取ってこられたことが、仕事に繋がったんです。これからもずっと……良いものを作り続けて下さい。そのための支援なら何も惜しみません』
正孝君の誠実過ぎるその言葉に、
『ありがとう……ございます……』
父は、泣いた。
男泣きするその姿を、私は初めて見た。
『真美を……娘をどうかよろしくお願い致します』
正孝君なら何の心配もない、安心だって、両親は私達の結婚を心の底から喜んでくれた。
このことに関してだけは、親孝行ができたって胸を張って言える。
今、私は、正孝君と誠、そして、お義父さんとお義母さん、私の両親……みんなに守られてる。
いろいろあって弱い自分も知ってしまったけど、でも、もう負けない。
どんなことがあっても、側に大切な家族がいてくれるから、だから大丈夫。
絶対に、大丈夫。
「見て、あの人達カッコいい~!」
「嘘、2人ともモデルさん?」
向こうにいる正孝君とお義父さんを見て、公園で子どもを遊ばせてるママさん達が話してる。
2人が来てると、急にギャラリーが増えるのがちょっと笑える。
お義母さんと私は「いつものこと」って、慣れっこになってるけど。
正孝君もお義父さんも忙しくて、公園にはたまにしか来れないけど、でも、いつも誠のことをめいいっぱい可愛がってくれる。
おかげで、誠も、素直に育ってると思う。
優しい家族に囲まれて、私は本当に幸せ者だ。
正孝君……
こんな私を選んでくれて本当にありがとう。
これからも……よろしくお願いします。