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■呪画怪談:『花骸(はながら)』
■インタビュー記録「境界図像としての少女骨格画」
【取材対象】
民俗文化研究者 池畑隆太氏(仮名)
Q:この絵を見て、民俗学的にどう感じましたか?
A:まず、単純なホラー表現というより、境界表現の集合体に見えます。
民俗学では、「境界」を示す象徴は非常に重要なんです。
この絵には、境界を示す要素が複数重なっています。
Q:境界、というのは?
A:簡単に言うと、「こちら」と「向こう側」の間です。
例えば──
生と死
現世と異界
子供と大人
記憶と忘却
こういった“切り替わる瞬間”ですね。
Q:具体的に、この絵のどこが境界的なんでしょう?
A:三つあります。
花。
骨。
水のような黒い表現。
Q:それぞれ、どういう意味になるんですか?
A:民俗学的には、こう整理できます。
花 → 移行・循環・供養
骨 → 本質・記憶・残存
水 → 通路・浄化・境界面
単体でも意味はありますが、三つ揃うと──
“通過”の象徴になります。
Q:通過……と言いますと?
A:はい。
終わりではなく、移動中の状態です。
Q:少女という点にも意味はありますか?
A:あります。
多くの文化で、子どもや若者は「変化の途中」にある存在です。
完成していない。
固定されていない。
つまり、境界に近い存在です。
Q:骨だけなのは?
A:これは重要です。
骨は、「最後に残る個体情報」です。
民俗的には、記憶や人格の核として扱われることがあります。
Q:つまり、この絵は死を表している?
A:むしろ逆です。
死ではなく──変化の途中です。
Q:この絵に「見られている感じ」があるという話があります。
A:それは珍しくありません。
民俗資料には、「見ることで関係が成立する象徴」があります。
例えば、
名前を知る
姿を覚える
意味を理解する
これらは、接触行為とみなされることがあります。
Q:もし仮に、この絵が民俗的象徴だとしたら?
A:仮説ですが──
これは存在の絵ではなく、状態の記録かもしれません。
Q:状態、ですか?
A:はい。
「境界を越えようとしている状態」
あるいは。
(少し間)
「越えたあと、どこにも定着していない状態」
Q:最後に。この絵について、一番気になる点は?
A:象徴の組み合わせとしては、かなり完成度が高いです。
普通、こういう図像は儀式や信仰の中に存在します。
でも、これは──
(間)
「文脈がない」
それが、一番、気になります。
──
後日、この民俗学者から記事掲載を差し止める旨のメールが来た。
何があったのか。