夏の暑い日差しに私は汗をぬぐった。
「暑い…」
その一言では表せないくらい暑い。
今年は異様に暑い
「こいし……これは流石に暑すぎるよ……野良猫探しなんてどうでもいいじゃない…」
「そんなのダメ!絶対に見つけてペットにする!」
「はぁ…わかったよ…」
そっけない返事を返し私はこいしを見た。
「こいしはなんでそんなに涼しそうな顔してるの?」
「さあ?」
こいしはくすぐったそうに笑った。
こいしは無意識を操る程度の能力…無意識に暑くなくなっているらしい。
さかのぼること数時間前。私とこいしは買い物へ出かけていた。帰るときに野良猫が草むらから私たちの前に現れた。
「あ!猫だ!かわいいー!」
こいしはすぐに野良猫のそばへかけよっていった。
「野良猫かしら?ずいぶん汚れているわね…」
「おいで~」
こいしはこの野良猫のことを随分と気に入ったらしい。
毛は黒くて目は赤色で目がすごくきれいだ。
「ほら、猫なんて見てないで早く帰りましょう?ただでさえ今年は暑いんだから」
「ええ〜そんなこと言ったて〜…あっ待って!」
黒猫はこいしの前から離れて森の中へと行ってしまった。そして黒猫を探しに現在にいたるというわけだ……
「あっいた!いたよ!こっちこっち!」
私の手を引っ張ってさらに森の中へと入っていく。
「あれ?」
そこに黒猫の姿はなかった。逃げてしまったらしい。
(あれは本当に猫?なにか……変ね…あの猫目がおかしいような…)
そんな疑問が浮かんだが今はそんな疑問はどうでもいい
「もう日もくれるし……ほら野良猫探しは明日にしましょう?もう暗くなるわ」
「………わかった」
こいしはなんやかんやで私の話をちゃんと聞いてくれる。
「明日はきっと見つけましょう?」
それ以外に言葉が思いつかなかった。落ち着いているように見えるが、内心ドキドキしている。
私はこいしの手をギュッと握った。
「こんなことしかできないお姉ちゃんでごめんね…」
こいしは悲しそうに首を立てに振った。私の気持ちわかってくれたのかな……明日はきっと見つけようね。