あれから頭痛は少ししたら治り、家に帰った。母から病院に行こうって言われたけど、まぁ、大丈夫だろう。
アルバムを見たら何か思い出せるかもって思ったけど、何も思い出せない。
次の日
仕事に行ったものの、どうにも集中できない。
パソコンの画面を見つめても、文字が頭に入ってこない。
それどころか、何か思い出そうとするたびに、ズキっと頭が痛む。
💙「……っ」
こめかみを押さえ、そっと息を吐いた。
──阿部。
仕事中、ふとした瞬間に彼の姿が目に入る。
真剣な表情で資料をめくる横顔。
誰かと話している時の柔らかい笑顔。
そのたびに、胸の奥がざわつく。
💚「……翔太?」
💙「え?」
気がつくと、阿部がこちらを覗き込んでいた。
💚「最近、元気ないけど大丈夫?」
💙「あ、うん…ちょっと寝不足なだけ」
適当にはぐらかす。
阿部は少し心配そうな顔をしたが、それ以上は聞いてこなかった。
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