「結婚したいならちゃんと将来の事を考えた方が良いよ」

黙り込む私に良子がそう言って電話を切った。

その言葉がずっと私の耳の奥に残っていてリフレインし続けている。

確かに良子の言うことは間違っていない。

年齢的にも時間に余裕がないということは私が一番よく分かっている。

大袈裟に言えば今すぐにでも結婚して子供が欲しいくらいだ。

でも未来がないかもしれないと思いながらも蓮くんと付き合うと決めたのも自分だ。

それなのに良子の言葉に悔しいくらい心が揺れている。

――結婚。

すごく魅惑的な響きで、思い出しただけで鼓動が高鳴る。

しかも一度は結婚を意識した相手だけに気持ち的にかなり複雑なものがあるのだ。

「なんで直樹なのよ……」

相手もタイミングも悪すぎる。

とはいえ直樹の事は良子から聞かされただけで、当の本人からは何も言われていないし、何の連絡もない。

もしかしたら良子が何＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

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