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第15話『楚の怪物』
朝日が昇る。
しかし函谷関に静寂はなかった。
夜通し続いた戦いの余韻が戦場を包んでいる。
そして楚軍の中央には、一人の巨人が立っていた。
汗明。
合従軍最強と謳われる男。
その姿を見るだけで秦兵たちの顔色が変わる。
「でかい…。」
信が思わず呟く。
飛信隊の兵たちも緊張していた。
あれほどの威圧感を持つ武将は滅多にいない。
汗明は巨大な矛を肩に担ぐ。
そして笑った。
「秦に猛者はおるか?」
その声は遠く離れた城壁にまで響いた。
秦軍本陣。
蒙武が立ち上がる。
「いるぞ。」
周囲の将たちが振り向く。
蒙武。
秦最強の武。
彼は迷わず前へ出た。
「汗明は俺が討つ。」
騰が微笑む。
「相変わらずですねェ。」
王翦は何も言わない。
だが反対もしなかった。
その頃。
虹桃軍団の陣地。
じゃぱぱたちも汗明を見つめていた。
「すごい迫力だね。」
るなが少し緊張する。
なおきりも真剣な顔になる。
「あれは本物や。」
今まで戦った将軍たちとは格が違う。
十二将全員が理解していた。
昼。
楚軍が再び前進を始める。
だが今回は違った。
中央に汗明軍。
その兵たちは異様な士気を見せる。
「汗明様!!」
「汗明様!!」
歓声が戦場を揺らす。
そして。
ドォォォォン!!
汗明軍が城門へ突撃した。
巨大な破城槌が振り下ろされる。
城門が震える。
「止めろ!!」
秦兵が必死に応戦する。
しかし汗明軍は止まらない。
その時だった。
函谷関の門が開く。
全員が驚く。
「なっ!?」
「門が開いた!?」
そこから一騎の馬が飛び出した。
そしてその後ろに続く数千の騎兵。
先頭にいる男は…。
蒙武だった。
「退くなァァァ!!」
秦騎兵が突撃する。
楚軍と正面衝突。
激しい衝撃が走る。
戦場全体が揺れたようだった。
汗明は笑う。
「待っておったぞ。」
蒙武も笑う。
「俺もだ。」
二人の怪物が向かい合う。
合従軍最強。
秦最強。
歴史に残る一騎討ちが始まろうとしていた…。
その一方で。
合従軍本陣の奥。
李牧は静かに立ち上がる。
副官が尋ねる。
「いよいよですか。」
李牧は頷いた。
函谷関の正面攻撃は囮。
本命は別にある。
誰にも知られていない道。
秦の背後へ抜ける道。
史実でも秦を滅亡寸前まで追い詰めた奇策。
李牧は馬へ乗る。
「出発します。」
数万の精鋭軍が静かに動き始めた。
その動きを偶然見つけた者がいた。
虹桃軍団の斥候――シヴァだった…。
「まずい…。」
シヴァの表情が変わる。
「李牧が動いた…。」
コメント
1件
第15話、めちゃくちゃ熱かったです…!蒙武と汗明、怪物同士の一騎討ちが始まる前の空気感がたまらなく好きです。特に「退くなァァァ!!」の叫びに震えました。そして最後の李牧の動き…。シヴァが気づいたシーンでゾクっとしました。次がどうなるか気になって仕方ないです🍙さんの書き方、すごく引き込まれます✨
#リゼロ
すず
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