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杏仁豆腐
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かき
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蝉が忙しなく鳴く。
じわじわ汗が滲んで気持ち悪い。
俺は夏が嫌い。
教室はクーラーが効いていて涼しい。
席に付き、外を眺める。
風が若葉を揺らす。
予鈴が鳴る。ホームルームが始まった。
あともう少しで夏休みに入る。
クラスメイトは皆、何処に遊びに行くか、や期末テストがどうの、と騒いでいた。
期末テストの勉強は現在も順調に進んでおり、夏休みは特に予定もない。
友達と呼べる人も特に居ないので頬杖を付きながら先生の言葉は右から左へと抜けた。
・・・
何も感じない。
痛くもない、寒くも暑くも何もない。
ただ唯一残った聴覚が今は夏だと気づかせる。
蝉の声。
若葉の揺れる音。
動けないけれど、音を聞く。
爽やかに抜ける音が心地良い。
夏。
俺は夏が好きだった。
一人しか居なかったけれど、大切な親友が居たから。
海に行って、祭りに行って、日差しが強くて暑いねって笑って。
アイス食べて、コンビニで涼んで、プール行って溺れかけて、青春を思う存分楽しんで。
綺麗な綺麗な海だった。
今までの日常の嫌な事全部、忘れる位には。
砂浜に落ちてる貝殻拾って、寝転がって砂だらけになって笑って。
海に触れた。
ひんやりしてて、掛け合って争った。
深い、深い青だった。
きらきら水面は輝いて。
ぶくぶく上がる泡も、少しずつ消える。
深い、深い青だった。
空が歪んで見えた。
俺が、俺自身の最後の青春を終わらせた海。
君との思い出を汚したいわけじゃないよ。
此処に居れば、君との青春を感じられるから、此処を選んだの。
何度も迷惑掛けてごめん。
大好きだったの。ありがとう。
コメント
1件
うわあ、このエピソード…冒頭の「夏が嫌い」から「夏が好きだった」への反転、そして「深い、深い青だった」という海の描写の反復がすごく効いてる。最後の「大好きだったの。ありがとう」で、この回想が別れの挨拶だったんだと気づいて胸が詰まりました。青春の輝きと喪失の重さが、静かな文体で描かれていて余韻が長く残る。2話目でここまで持ってくるのは上手いですね。続きが気になります。