「……それだけでは足りなくて…………女性向けのAV動画サイトで…………クンニ動画を見ながら、自慰するようになって……。動画見てたら、本当に気持ち良さそうで…………私もいつか……あんな風に感じてみたいって思って……」
「それで、エロ系SNSに登録して、クンニだけの相手を探したってワケか」
「はい……」
話し終わった後、奈美は頬が熱っていくのを感じた。
穴があったら入りたいっていうのは、こういう事なのかもしれない。
「こんな事、誰にも言えないし……」
すると横から腕が伸び、筋張った手に彼女の髪を撫でられる。
顔を上げると、豪は柔らかい笑みを見せていた。
「やっている事が男みたいだな」
彼が小さくフっと吹き出すと、奈美は、子ども扱いされたように感じて、頬を膨らませた。
「人が勇気を出して、真剣に話したのに……! 揶揄ってます!?」
「いや、揶揄ってないよ。女性も性欲はあるだろうし。ただ……」
豪は、髪を撫でていた手を滑らせ、奈美の頬に触れてきた。
「君のような可愛い女性が……自慰行為をして、クンニ相手が欲しいっていうのが、ものすごく意外に感じてな」
彼の指先が、彼女の頬をなぞり続けた後、緩慢と首筋を伝っていく。
「セックスは、彼氏と別れてから、してないのか?」
「してないです。多分、数年近くしてないし、それに、自分が感じる場所は、自分がよく分かるし……」
「奈美さんだけでなく…………俺も君が感じる所は、よく分かってるだろ?」
豪が、意地の悪い笑みを浮かべながら、器用に片側の口角を上げる。
「……!!」
彼に舐め尽くされて絶頂した時の事を思い出し、奈美は、顔から火が吹き出そうになった。
その後も、奈美はセックスについて思う事を、ベッドの上で話し続けた。
長い期間してないから恐怖心がある事、いつか私に彼ができて、身体の関係を持った時、イく事ができなかったら、といった不安……など。
奈美が喋り続けている状態だったけど、彼は嫌な顔をせずに、耳を傾けてくれた。
「おそらく元彼氏は、経験が少なかったか、独りよがりのセックスしか、できなかったのかもしれないな」
豪に話したお陰で、奈美の胸中に凝り固まっていた痼が、スッと落ちていくのを感じる。
「色々話を聞いてくれて、ありがとうございました」
長い時間だったけど、彼に全てを話した後、軽く会釈をする奈美。
「どういたしまして。奈美さんのセックスに対する不安も聞けたし、できる事なら……」
少しの間、無言になった豪の唇を、彼女は、ぼんやりと見つめていた。
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