しばらくすると、外はすっかり宵の空だった。
私も眠くなってきたので、暖炉の始末をして、今日は寝ることにした。
翌日、太陽の光を感じて目を覚ますと、そこには昨日倒れていた少女が、暖炉の前に、それは美しい居住まいでそこにいた。
「おや、お目覚めになられたかな?」
少女はそう言うと、体をこちらに向けて、深くお辞儀をした。とても美しい所作だった。
「昨日は、お腹が空いて倒れていたところを助けてくれて本当に有難う。」
どうやら、昨日倒れていたのは空腹によるものだったようだ。
とはいえ、何故あんなところで倒れていたのか…。
ここまでの所々堅い口調や美しい所作、上等な着物をみるに、間違いなく平民の家の子ではないだろう。
そんな家の子が、空腹で道に倒れているなんてことがあるだろうか…。
とりあえずは、事情について聞く前に、彼女の周りについて聞いてみることにした。細かいことはそれからだ。
「元気そうで良かった。ところで君、自分の家がどこにあるかとか、家族がいる場所って分かる?」
彼女はしばらく間を開けてから言葉を発した。
「……ごめん、お母様とお父様の顔は見たことないんだ…。家の場所も今まで一人で外に出たこと無いからわらないや。」
そう言うと、彼女は申し訳無さそうに笑った。
何か事情があるらしいので、それ以上は聞かないことにした。
しかし、彼女が言葉を発する直前、一瞬、冷めたような、目に生気が宿っていないような表情したように見えたのは、気の所為だろうか…。
コメント
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あの、現代風ではないやつ(?)(集落的な)がテーマなの珍しいからめちゃくちゃ好きです!! 情景描写とかすごく上手ですね!✨ 応援してます!!(*¨*)♡