ある日僕は椅子になっていた。
周りにはプラモデルが飾ってある大きなタンスに、鈴を鳴らして走り回っている仔猫。
心地い風を浴びながら、誰かの鼻歌が僕の耳に聴こえてくる。
僕はその鼻歌の声に何故か安心感があった。
優しいなめらかな声。
僕はその鼻歌を聴いて気持ち良く眠ってしまった。
起きると僕は壁になっていた。
周りにはたくさんのものが散らかっている机に、一部が溶けかけている椅子。
肌寒く、冷たい空気が僕に当たる。一つのストーブをつけても部屋は暖かくはならない。
冷たい空気、まるで牢屋みたいな部屋。
僕はそんな部屋の中で目を瞑った。
気が付くと僕は、猫になっていた。
全身黒い毛で、ドブのような匂い。
周りには生ゴミがたくさん捨ててあり、その匂いが体に染み付いてしまっている。
みる限りどうやら俺は野良猫だろう。
すると一匹の猫がやった来て俺をじっくり眺めてこう言った。
「お前の一人称は”我輩”が似合うな」
それだけ言うとそそくさと去っていた。
少し俺はその猫の言葉が気になって自分のことを「我輩」と呼んでみる。
意外としっくり来るもんだ。
しばらく我輩という言葉を使って遊んでいた。
「我輩お腹空いた!我輩黒い毛の猫だ!」
我輩は黒猫である。
名前はまだない。
コメント
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お借りした作品 「吾輩は猫である」 ⚠改造⚠
あっいい()