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#ミステリー
鬼霧宗作
202
さなめ
538
江藤ルミエール
415
彼の足元には、先ほど持っていた台帳が床に落ちていた。 どうやら、彼はそれを投げつけたようだった。
そして、低い声で静かに言った。
「うるさい。まだこっちが説明してるところでしょうが」
その声は、まるで凍てついた刃のように鋭かった。
スダはゆっくりと顔を上げた。
「……ほう?」
台帳を拾い上げながら、視線を祥子へと向ける。
「名津祥子さん……ですね」
祥子の顔が、強張った。
スダは指先で台帳をなぞりながら、静かに呟いた。
「じゃあ、あなたが最初の見本になりましょうか」
その言葉のあと……
ザシュッ!!!
何かが飛んだ。そして刺さる音。
祥子の額に突き刺さった。何かが。
「きゃああああ!!!」
耳をつんざくような悲鳴が教室に響いた。
ナイフだった。
それも、刃渡りが包丁よりも大きい、異様な形をしたナイフ。
祥子の体が、力なく床へと崩れ落ちた。
血が、どくどくと流れ出した。
教室の床を真っ赤に染めながら。
源喜は驚きのあまり、ハルキの胸ぐらを掴んでいた手をぱっと離した。
教室の空気が、完全に凍りついた。
誰もが言葉を失い、震える手で口を塞ぐ。
祥子の体は、ぴくりとも動かない。
彼女の額に深く刺さったナイフが、まだそこにある。
そして壁際の兵士たちが動いた。
彼らは無言のまま、黒い布を広げると、それを祥子の体に被せた。
まるで、死体処理に慣れているかのように。
黒い布の下に、祥子の体が完全に隠れる。
そして、兵士たちは何事もなかったかのように、元の位置へと戻った。
スダは、静かに微笑んだ。
「もう、ゲームは始まっているんですよ」
そして、教室の壁に埋め込まれていたデジタル時計が、カウントダウンを始める。
残り時間:11時間00分00秒
すでに、1時間が過ぎていた。
死のカウントダウンは、もう止まらない。
「急がず慌てず。まだまだありますよ」
スダは天井を仰ぎ、薄く笑った。
「さあ、残り時間を有意義に使ってください。ね?」
恐怖の幕が、ゆっくりと降り始めていた。
コメント
1件
うわあ……第9話、読み終えたよ……。祥子さん、まさかあんな形で……ナイフが額に刺さる瞬間、本当に息が止まった。スダの「ゲームは始まっている」って台詞がもう、心臓に直接響いてくる感じ。兵士たちの死体処理の手際の良さも、逆に不気味で鳥肌が立った。残り11時間ってタイムリミットが、じわじわと迫ってくる恐怖を演出してて、次の展開が気になって仕方ない。麻木香豆さんの描く緊張感が、本当に研ぎ澄まされてる……。