誰も彼を止める人は出てこなかった。どいつもこいつも狂ってやがる
「応えろ?いや…わかんねぇよ、物心つく前から自然と出来ていたんだ」
頬を掻き俺は目を逸らしたが、彼は俺と意地でも目を合わせようとしてきた。そんなに怒るものなのか?分からない。俺は、こいつの心が読めない。聞こえない。分からない
「嘘つけ、物事は何事も誰かから教わらないと出来ない!」
「最初から出来る奴なんて居ないんだ!」
風が思いっきりビュンッと吹いた。俺は思わずよろけて尻餅をついてしまった。俺の体制が崩れたと同時に、俺の目の前に刀が振り落とされた
「ぉ、落ち着けよ、楽さんよ…」
「…!」
「楽!これを見てくれ」
「…何もないぞ」
「……あちゃ、妖か、美しいもんだから楽、君に見せたかった」
「明珠……」
俺はまあまあ、と言うと顔を赤らめて再び楽は怒鳴った
「っ……、その名で呼ぶな!」
「うわ!?、何だこれ、御札…?」
楽が怒鳴ったあと、俺は激痛に襲われた。体全体には御札のようなものが数枚貼られていて、身動きが取れなかった
「離してくれ楽、」
「黙れ……」
怒った口調で楽は風の速度をあげた。どうやら天気を、風を、操っているみたいだった
「っは、いてぇ…」
「…ミンジュ、私を怒らせた。お前は完全なる罪人だ」
「俺は……」
「美明珠。」
「父上……」
後ろを振り向くと父上、それと南の諸々が立っていた。どうやら、騒ぎを聞き付けたようだった
「みな下がれ!」
一人が号令をかけるとみな一気に下がっていった。下がれの号令のお陰で俺は解放された
「………瑤楽。私の息子を傷付けたこと、覚えているがよい。必ず復讐へゆく。待っていなさい」
「さぁ、ゆくよ。美明珠。」
父上は楽を睨んでそう告げ、俺の腕を思いっきり引っ張った。さっきの攻撃で結構体は痛かった。腕を引っ張られると腰が割れるように痛かった
「ま、待ってくれ父上」
「?」
「…楽、俺が悪かった。すまない」
「……ミンジュ」
「謝るな!南と北は今後一切触れることはない。礼など謝罪など必要ない!」
父上は相当怒っていた。俺の事を思って、他人の事を思っての発言だった。それは承知の上だった
「そのようなことは承知の上です。ですが父上、怪我をしている人をほおってはおけない」
「なぁ楽。足を見せてごらん」
「私は怪我など…っ、」
足を引きずるように歩いている。足を捻挫をしているか、骨が折れている。これは危険だと思った。じたばたと抵抗するもんだから、少し乱暴に足を此方に引っ張り俺は手当てをした
「南がなぜ…」
「南?誰だそれ。俺はな!美明珠だ!」
大声を上げてどどんっと自身の胸を叩いた。じんっと傷んだ、でもそんなこと気にしないで俺は何度も胸を叩いた。北の人たちは随分と驚いていた。
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