テラーノベル
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柔太朗がリビングに戻ると、空気が少しだけ動いた。
クッションの位置が変わって、テレビの音量が気持ち下がる。
勇斗は立ち上がらず、床に座ったまま仁人の方を見る。
勇「次、俺だよ?」
仁『はいはい分かってますよ』
勇「なんか冷たぁい」
仁『早く入ってこいって笑』
勇「はいはい」
勇斗はゆっくり立ち上がって、タオルを肩にかけたまま風呂場へ向かう。
ドアが閉まると、シャワーの音がすぐに聞こえ始めた。
舜「何気に一番勇ちゃんが楽しみにしてるよね」
仁『ほんと何がいいのかわからん』
太「嫌そー笑」
仁『ここまできたらもう嫌もなにもないだろ』
そう言いながら、仁人はドライヤーを持ち直す。
コードを伸ばして、床に座る位置を少しだけずらした。
さっきまでとほとんど同じなのに、ほんの少しだけ距離が近い。
しばらくして、風呂場のドアが開く。
勇「ふー…」
髪はまだしっかり濡れていて、タオルで拭いた形跡はあるけど雑だった。
勇斗はそのまま仁人の前に来て、何も言わずに座る。
仁『ちゃんと拭いてこいよ』
勇「どうせ仁人がやるでしょ」
仁『仕事増やすな』
文句を言いながらも、仁人はタオルを受け取る。
水気を取る手つきは自然で、勇斗も特に動かない。
勇「相変わらず優しいね〜うちのリーダーは」
仁『優しくないわ』
勇「じゃあ何」
仁『効率的に?』
勇「それ言えば全部許されると思ってるでしょ」
仁『思ってねぇよ』
ドライヤーの音が部屋に広がる。
勇斗はわざと少しだけ頭を傾けて、やりにくい角度を作る。
仁『ねぇ、わざとやんな』
勇「もしかして、怒ってる?」
仁『はぁ…。怒ってない』
勇「ほんとか?笑」
仁『怒ってないから』
勇「普通に嫌そうだけど笑」
仁『…うるさい、笑』
勇斗は小さく笑う。
声を出さないけど、肩の動きで分かる。
勇「仁人さ」
仁『なに』
勇「俺のこと雑に扱うよね」
仁『みんなこんなもん』
勇「えーそう?他の人にはもっと優しいくね?」
仁『気のせい』
勇「じゃあ確認しよー」
勇斗が少しだけ後ろに体重をかける。
仁人の手が追いかけるみたいに動く。
仁『だから動くなって』
勇「はいはい」
口では従うけど、完全にはやめない。
そのやり取りが、もういつものことみたいだった。
勇「俺が一番最後なの、わざと?」
仁『は?』
勇「仁人が決めた?」
仁『お前忘れたの?じゃんけんしたろ?』
勇「あ、そうだったわ笑」
仁『まぁでも勝っても負けても勇斗は一番最後』
勇「えー?」
勇斗はそれ以上突っ込まず、 ただ少しだけ黙った。
その沈黙が、仁人には妙に長く感じられた。
勇「ほんと仁人ってさ、折れるの遅いよね」
仁『は?何の話し?』
勇「いろいろ」
仁『意味分かんない』
勇「分かんなくていいでーす」
ドライヤーの音だけが続く。
勇斗は目を閉じて、されるがままになっている。
勇「てかさ」
仁『まだあんのかよ笑』
勇「何気に俺が一番仁人に頼んでんだよなー笑」
仁『それはそう笑まぁ、俺も頼ってるから…お互い様』
勇「確かに笑」
少し間が空く
仁人はため息をついて、風量を弱めた。
仁『ちゃんと乾かすから、じっとして』
勇「あ、今の折れた?笑」
仁『折れてない笑うるさい!笑』
勇「声のトーン」
仁『気のせい!笑』
勇「笑笑笑」
勇斗は満足そうに笑う。
からかうのをやめて、素直に動かなくなる。
勇「ね、仁人」
仁『なに』
勇「俺さ、こういう時間好きだなー」
仁『…。独り言?』
勇「ちげーよ笑」
仁『はいはいそうですか、、俺は知らないけど』
勇「嘘つけ、仁人も好きなくせに♡」
仁『…..,,///』
勇「笑笑かわいー」
仁『うるさ』
それでも、手は止まらない。
耳の後ろ、襟足、最後まで丁寧に乾かす。
仁『はい、終わり』
勇「ありがとぉー。いいよね、このヘアオイルの匂い」
仁「あげようか?」
勇「…。ねぇ、仁人が優しい゛!」
舜「笑笑笑」
太「ほんまこういうとこよ!罪な男♡」
柔「え、ねぇ俺も欲しい」
仁『やっぱあげん』
勇「は?」
太「ま、こういうこともある笑」
勇斗は立ち上がって、軽く髪を触る。
勇「じゃ、仁人入っておいで」
仁『はぁ…やっと、、』
勇「ゆっくり浸かってきな」
そう言って仁人の頭を優しく撫でた。
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