テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
去っていく存在の、その最後をきれいに飾ろうとする光景が、ずいぶん増えた気がする。
「誰かを推す」という文化。
活動終了だったり、一区切りだったり。理由はいろいろあるのだろう。
けれど、共通しているのは一つだけだ。
自分の目の前から、いなくなってしまうということ。
別れである。
それをただの区切りと呼ぶのか、それとも・・・別の何かなのか。私には上手く表現ができないのだけれども。
同じように去り際があって、同じように、もうそこにはいない。それだけは確かだった。
終わりは始まりで、始まりは終わりでもある。
何かが世に出た瞬間、それは同時に、役目を終える方向へ歩き出している。皮肉なことに、人気が出れば出るほど、期待が集まれば集まるほど、
「その時」は近づいていく。
〝使い切られる〟という言葉が、一番近いのかもしれない。
でも、考えてみれば当たり前の話だ。
人は消費して、また次を求める。
どんな表現も、どんな存在も、味わわれ、消化され、やがて姿を消していく。
ただ一つだけ、残るものがある。
ほんの少し、体の奥に引っかかる何か。
それがたぶん、思い出で、忘れたくないという感情なのだろう。
私はそんなことを考えながら、会場に集まった人たちを眺めていた。
一人が近づいてきて、静かに頭を下げる。
「大切な人の一区切りを、見送られたんですね」
区切りを整える立場として、私にできる言葉は、きっとこれくらいなのだ。