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狂気の村

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狂気の村

2 - 第2話 むら の ひみつ

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2024年07月08日

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「もしもし、そこで何をしているんですか?」

!!

突然後ろから声をかけられ驚いたが、ふりかえると警察官の恰好をしたおじいさんがいた。駐在員というやつだろうか。

「あっ……、すいません。子ども達がノートを落としたみたいで」

「ほう、ノートですか」

駐在員にノートを渡すと、おじいさんはパラパラとめくってみていた。

「これ、中はご覧になりました?」

「いえ……」

あの異常な内容について報告した方がいいのだろうか、とも思った。けれど、なんとなく嫌な予感がして、ノートの中身を見たことを知られない方がいい気がして、とっさに嘘をついた。

「そうですか。いや、ありがとうございます。あとで学校の方にでも届けておきますわ」

「よろしくお願いします」

「ところで、お嬢さんはここまでバスで来たのかね?」

「あ、はい」

「そうかい。この村、バスはあんまり本数がないから、乗り遅れないようにね」

「わかりました~」

これは、遠回しに早く帰れと言われているのかも……。駐在員のおじさんに挨拶をして、私はバスを待つことにした。ところが……。

「お嬢さん、バスを待っているのかい?」

「あ、はい」

バス停でバスを待っていると、通りがかったおじさんに話しかけられた。

「それは残念だったな。ここに来る途中事故があったらしくて、今日はもうこの村にバスは来ないよ」

「そんな……」

「そうだなぁ、なんならわしが、近くの街まで送って行こうか? そこなら別のバスもくるだろうし」

「ありがとうございます」

近くの街まで相当距離があるため、さすがに歩いて帰るわけにはいかない。おじさんに送ってもらうことにした。

「わしの家はそこじゃが、車は少し離れたところに止めていてな。まあ、お茶でも飲んで待っててくれ」

「あ、お構いなく……」

といったものの、おじさんは親切にお茶を出してくれた後、車を取りに行った。しばらくおじさんの家で待つと、おじさんが戻ってきた。

「おまたせしましたな」

「いえ、ありがとうございます」

おじさんと車に乗りこみ、街を目指した。

「ところでお嬢さん、こんな村に来るなんて、どうして?」

「田舎を旅するのが趣味で……」

「そうかい。何もないがいいところじゃろ」

他愛のない会話をしながらしばらく車を進めていると……、あ、あれ? なんだか急に眠気が……。

「おや、お嬢さん、眠くなってしまったかな?」

「え、ええ……」

「まあ、少し寝なさい。ついたら起こしてあげるから」

「すいません……」

私はそのまま眠ってしまった。そして……。

画像


・・

・・・

「……い! おじょうさん!」

おじさんの声で目が覚めた。なんだか頭がぼーっとしている。あれ? 私なんで眠っていたんだろう?

「お目覚めですかな?」

「はい……。あ、あれ?」

私は自分が不自然な体勢でいることに気がついた。両手が縄で縛られ、両足も縄で縛られた状態で床に転がされていた。

「え? あ、あぐう……」

なに? 何なのこれ!? なんで私縛られて……? パニックになる私に、おじさんは笑顔で話しかけてきた。

「お目覚めかな? おじょうさん」

「おじさん……? なにこれ……?」

「おじょうさんが悪いんだよ? あのノートを見るから……」

「ノート……? あ、ああ!? し、知らない! 私そんなの知りません!」

私は必死で否定した。何なのこの状態? なんで私が縛られて拘束されて!? そんな私に構わずおじさんは話を続ける。

「とぼけても無駄だよ。あのノート……、君は読んだね? この村の秘密を知ったからには帰すわけにはいかないよ……」

「いやあ! いやあああ! 帰して! ここから出してえ!」

私は必死に抵抗した。手足を縛る縄をほどこうと暴れたけれど、きつく縛られていてどうにもならない。私は部屋を見渡したが、窓もなくて、ドアはおじさんの後ろにある1つだけ……。逃げられない……。

おじさんはそんな私を楽しそうに見ながら話を続けた。

「君の処遇について話し合いが持たれた結果、君には実験体になってもらうことになったから」

「じ、実験……?」

「そう……。君はあのノートに書かれていた『じっけん』を体験することになるんだよ……」

おじさんのそのセリフで、私の脳裏にはあのノートの内容が蘇った。

「い、いや! いやああ! いやあああ!」

あらん限りの声で私は叫んだ。けれど……。

「さあ、始めようか……。みんな入っておいで」

おじさんがそう言うと、部屋のドアが開き……。何人もの子ども達が部屋に入ってきた。中には小学生くらいの子から中学生くらいの子までいる。

「こ、来ないで! 」

私は恐怖にかられた。必死に暴れるが、拘束は解けない。子どもたちは笑顔で私に近づいてきて、「この女の人をじっけんに使っていいの?」と1人の子どもが聞いた。

「ああ、このおじょうさんをみんなで好きに『じっけん』しなさい」とおじさんはいった。

「わあい! 何のじっけんをしようか? 虫集め? それともクラスでペットとして飼う?それともミミズをつかう?」

みんなが楽しそうに喋っている。私は涙を流しながら、やめて!と叫んだ。けれど、その願いは聞き入れられなかった……。

続く

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