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第三章 はぐれ者編
第十五話「守り続ける想い」
住宅街。
はるかは一人、静かに花へ水をやっていた。
その近くでは、黒のユーマが戦いの疲れから少しだけ休息を取っている。
能力『夢』も解除したまま。
穏やかな時間が流れていた。
その時――。
空間が赤黒く歪む。
バシュッ。
虚飾がゆっくりと姿を現した。
「見つけた。」
はるかは驚いて振り返る。
「あなたは……!」
虚飾は笑う。
「英雄の妻。」
「そして英雄の息子。」
「ここで終わりだ。」
血の刃を作り出し、一歩ずつ近付く。
「まずは、はるか。」
「次に黒のユーマ。」
「二人を失えば、希望は完全に消える。」
その瞬間だった。
ユーマは眠っていた。
能力『夢』は解除されている。
本来なら誰かを生み出すことなど、不可能。
だが――。
古流斬が生前、最後まで守りたいと願った想い。
ユーマが母を守りたいという強い願い。
二つの想いが重なった。
淡い黒い光が、はるかの前へ集まる。
「……?」
虚飾が足を止める。
光の中から、一人の青年が現れた。
黒いコート。
一本の刀。
静かな眼差し。
「……久しいな。」
古流斬。
虚飾は目を見開く。
「馬鹿な……!」
「能力は解除されていたはずだ!」
古流斬は静かに刀へ手を添える。
「これは能力じゃない。」
「俺が残した想いだ。」
はるかは震える声で呟く。
「……ラン。」
古流斬は振り返らず、小さく笑う。
「久しいなぁ、はるか。」
「少しだけ、守りに来た。」
はるかの目から涙があふれる。
「本当に……あなたなの?」
古流斬は優しく答える。
「ああ。」
「でも長くはいられない。」
「だから、この時間だけは。」
虚飾は血の刃を構え直す。
「死人が邪魔をするな!」
古流斬は静かに前へ出る。
「ユーマには。」
「まだ、お前と戦うには早い。」
刀を抜く。
その一閃で、周囲の空気が張り詰めた。
虚飾は冷や汗を流す。
「死んだはずなのに……この威圧感。」
古流斬は静かに構える。
「来い。」
「今だけ、相手をしてやる。」
風が吹き抜ける。
十二年前の英雄が、再び剣を握った。
――第十六話へ続く。
コメント
1件
古流斬さん、第62話読了です……! もう、ラストの古流斬登場には震えました。「能力じゃない。俺が残した想いだ」って台詞、心にずしんと来ましたね。十二年前の英雄が再び刀を握る瞬間、はるかさんの「本当に……あなたなの?」の涙が目に浮かびました。ユーマくんの成長と父の想いが重なって、続きが待ち遠しいです。今週も素敵な時間をありがとうございました🌷
古流斬
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チタコロ
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