テラーノベル
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パーティを組んでから三ヶ月。ようやく仲間に認めてもらえると思っていた矢先――その瞬間は突然訪れた。
「レイ、お前はもう抜けてくれ。」
パーティのリーダーである剣士のシグが、冷たい瞳で俺を見下ろす。
「……は? ちょ、ちょっと待ってくれ、抜けるって――」
「俺は賛成だ。」
無骨で腕っぷしの強い戦士、バルフが低い声で言う。
「私もー。」
軽やかな声で狩人のミーナがあっさり言い足す。
――嘘だろ、本気かよ……。
「ま、待てって! 俺はまだやれる、もっと役に立てるはずなんだ!」
必死に食い下がる俺。
「いつまでこっちが我慢すればいいんだよ。」
シグが苛立ちを隠さず言い放つ。
「お前の黒煙生成魔法な、相手の視界奪うどころか、俺たちまで見えなくなるんだよ!」
バルフは握りこぶしを震わせながら続ける。
「こっちがどれだけ配慮して戦ってるか、わかってるのか?」
「それに……」
ミーナが眉をひそめる。
「正直、煙たいし無理。」
「そんな……俺は……俺はまだ……」
声が震えて、うまく言葉が出てこない。
「しつこいぞ。」
シグが俺の言葉を遮る。
「冒険者は遊びじゃない。お前一人の成長をいつまでも待ってる暇なんて、誰にもないんだ。」
「違う、俺は――!」
みじめさを隠せなくなった俺は、思わずシグの足にしがみついた。
「頼む!ここだけが俺の居場所なんだ!捨てないでくれよ!」
シグは軽蔑の表情で俺を見下ろす。
「……汚らわしいヤツめ。」
その瞬間、シグは無言で剣を抜き、俺の腕を鈍い音と共に切り落とした。
「あ……?」
腕からどくどくと血が溢れ出す。痛みよりも、信じられない気持ちの方が強かった。
「さっさと諦めろよ。」
バルフがそう言うと、俺の顔を容赦なく殴りつけてきた。
殴る、殴る。何度も――俺の意識はどこか遠くへ飛びそうになる。
「これで終わりよ。」
ミーナが、冷ややかな声で呟く。
彼女は弓を引き絞り、俺の腹を何度も、何度も射抜いた。
膝から崩れ落ちる俺――視界がぼやけ、涙がこぼれる。
(ああ……俺は、才能もないまま、こんな形で終わるのか。全部が無駄だったのか、俺の人生……)
誰も助けてくれない。痛みと孤独の中、世界が静かに、暗い闇へ溶けていく――
その夜、俺はひとり、静かに倒れた。
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