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名無しさん

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💚視点
傷がいつできているのか分からないため、とりあえず俺の通勤で通る道を歩きながら聞き込みをした。
向井さんの見よう見まねで俺も聞き込みをして、必死になっているうちに気づけば俺の会社までたどり着いていた。有効な手がかりは無し。俺と同じ被害にあったことのある人とは出会わなかった。
「時間が悪いのか、ほんまに阿部くんだけなのか……」
「俺だけが狙われるなんて、そんなことあるんですかね?」
「さあ……じゃあもうこうなったら、 警察に行って聞いてみよか!」
「警察?! そんな、いきなり警察に行くなんて……!!」
警察に通報するほど俺の被害は大きくない。こんな小さなことでいきなり警察に行っても、取りあってもらえるのだろうか……
「大丈夫やから! 心配せんと着いてきて?」
自信満々に歩いていく向井さんの背中を追いかけた。
「こんにちはー!」
暗い署内とは似つかないほど明るい調子で、入り口に立っている警官に向井さんは挨拶をする。何回もここに来ているのか迷いのない足取りで受付に向かうと、向井さんはやけに親しい様子で受付の男性と話している。
初めて入った警察署に少し怯えながら俺が向井さんに追いつくと、向井さんは満面の笑顔で俺に言った。
「紹介するわ! 彼、俺の後輩の道枝くん!」
「あ、どうも、道枝駿佑といいます……こうじくんがいつもお世話になってます」
「あーいえ、こちらこそ……阿部亮平と申します」
出会ったばかりで特段お世話にもなっていないが、一応成り行きに任せて挨拶をしておく。
「この子、俺の依頼人やねん!」
「そうなんですね!」
警察に知り合いがいたのか……そりゃあどうりで自信に溢れている訳だ。
「あいつ呼び出してほしいんやけど、今居てる?」
「あー、先輩は今……ちょうど会議終わったところみたいです。呼び出しますね!」
「頼むわ!」
……まだ知り合いがいるみたいだ。道枝くんは内線を使って誰かに電話をかけている。その隙に、俺はそっと気になったことを聞いた。
「警察に知り合い多いんですか?」
「まあそうやなぁ……俺もともと警察学校通ってたからな」
「え?!」
「ちょ、声でかいって阿部くん」
探偵をしている向井さんが、警察学校出身とは……意外すぎて大きな声が出てしまった。俺の大声に周りの人の視線が集まり、ペコペコと会釈して謝る。
「……警察官にはならなかったんですか?」
「うーん、どうも俺の性にあわんくてな」
ドラマなどの情報から、警察になるのはかなり厳しく大変だと知っている。元気な向井さんがお堅い仕事に合わなかったのも、なんか納得できる。
そうこうしているうちに、さっき道枝くんを通して呼び出したのであろう向井さんの知り合いがやってきた。
「おー! ごめんなぁ突然呼び出して」
「いやほんとだよ!! 毎回突然気やがってさー、捜査一課のことなめてるでしょ?」
「なめてへんよ〜〜」
道枝さんと話していた時 より明らかに今の方が楽しそうだ。よっぽど気の知れた相手なのだと分かる。
「んで? 今日はなんの事件?」
はあ、とため息まじりに相手の方 がそう聞くと、向井さんは少し後ろにいた俺を前に押し出してきた。
「この子がな、切り傷事件に悩まされとんねん! 関連した捜査について聞きたいな思て」
「あ、阿部亮平と申します」
咄嗟に自分の名前を名乗る。俺の会釈に合わせて彼も会釈をしてくれたから、口は悪いけどやっぱり良い人なんだと感じる。
「切り傷事件……あぁ、申し遅れました。わたくし捜査一課に所属してます髙地優吾と申します」
ドラマで見るように、慣れた手つきで警察手帳を俺に見せてくれる。
「こーちはな、俺の同期やね〜ん!」
「あぁ〜もう! くっつくな!!」
ギューっと髙地刑事に抱きつく向井さん。同期とはいえ、こうも簡単に刑事の懐に入り込むなんて……さすがというかなんなのか。
「あのな、康二。俺捜査一課だから、扱うのは基本殺人とかの凶悪事件。街の事件を全て取り扱ってるとかそういうんじゃないからな?」
「うん、そうやけど……なんか知らん? 他の警官さんの話聞こえてきたとかさ」
「ないよぉ……まあでも、せっかく依頼人さんにも来てもらってるし、俺も今時間あるし」
そこまで言うと、髙地刑事は俺の方に向き直る。
「話、聞かせてもらっても良いですか?」
向井さんに対する態度とは打って変わり、優しい笑顔で俺にそう言ってくれた。
俺が向井さんに話したように自分の身に起こったことを簡単に説明すると、髙地刑事は顎に手を添え何か考える素振りをした。
「……正体不明の切り傷か。あんまり聞いた事ないな」
「そうですか……」
警察でも、手がかりを得ることは出来なかった。
「力になれなくてごめんね……また何かあったら連絡して? これ、名刺。渡しとくよ」
髙地刑事はそう言って俺に名刺を手渡してくれた。俺は少し大げさなくらい恭しく受け取る。
「こーちぃ、時間とらせてごめんなぁ? また来るわ!」
「お前はなるべく来ないでくれ……」
向井さんがブンブン手を振るのと正反対に、髙地刑事は適当にあしらいながら去っていった。
「こーちが名刺渡すのなんて珍しいわ。気に入られたんちゃう?」
「えー、そうなんですかね……?」
警察署からの帰り道。何も手がかりが得られない中、俺たちは探偵事務所に戻っていた。
「結局、全然手がかり見つからなかったですね」
俺がそう呟くと、向井さんはニヤリと笑みを浮かべる。
「……いや、案外そうでもないで?」
「え?」
「今日いくつか分かったことがある。事務所で説明するわ」
一般の俺には分からないことでも、探偵には分かってしまうみたいだ。向井さんの言葉を信じて、俺は少しドキドキしながら歩き続けた。
コメント
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うわああ第3話も読み終わったよ〜!!😭💕💕 向井さん、まさかの警察学校出身って意外すぎてビビった!!確かに元気いっぱいすぎてお堅い仕事は合わなそうだけど、だからこそ頼りになる感じがめっちゃ伝わってくる…! 髙地刑事との掛け合いも「くっつくな!!」って言いながら仲良さそうで、探偵×警察のバディ感がたまらんかった🫶✨ そして「いくつか分かったことがある」のところ、次が気になりすぎるよ!!続き待ってるね🌸