友達……ううん、まるで親友みたいになれた。
一緒に過ごす時間が本当に楽しくて、いつだって笑顔でいられた。
『留学?』
『うん、私の中学時代からの夢。卒業と同時にオーストラリアに2年くらい留学して、語学と文学を学びたいって思ってるの』
『そっか。オーストラリアに……それは素晴らしいね。真美ちゃんなら大丈夫。頑張って、応援してるから、君がどこにいても』
少し寂しそうな顔をした?
『あ、ありがとう……正孝君』
『元気でね。遠くからずっと見守ってる。たまにメールして』
『もちろん連絡するから』
それから約2年、オーストラリアで語学の勉強をしながら、私は向こうの生活を満喫した。
バイトもしながら、有意義な時間を過ごし……
海外での生活には困らないくらいの日常会話も身につけることができた。
あっという間の留学を終え、私はそこで知り合った日本人の彼氏と共に日本に帰ってきた。
付き合って半年。
結婚の約束もして、この人と結婚するんだって本気で思ってた。
なのに……
戻ってきた途端、私は彼に言われたんだ。
『向こうなら彼女にバレずに済んだけど、こっちにいたらやっぱりバレるからさ。ごめんな、真美。あいつとはもう5年も付き合ってるから、帰ってきたら結婚してって言われてるんだ。だからお前とは……結婚できない』
完全に二股をかけられてた。
騙されてたことを知り、私は悔しさと怒りを覚え、それはやがて……虚無感に変わっていった。
心の中全部が「もうどうでもいい」って、投げやりな気持ちに支配されて、私は、もう人を信じることができなくなってしまった。
しばらく家に閉じこもっていた、そんなある日。
父が私に声をかけてきた。
『真美、大学時代の友達から電話が入ってる』
『え……』
もしかして、正孝君……?
なぜかそう思った。
私は父の会社にかかってきた、その電話に出た。
『は、はい』
ちょっとドキドキする……
『真美ちゃん、おかえり。すぐに連絡できなくてごめん』
やっぱり正孝君だ。
この声、何だかとても懐かしい気がする。
最後に聞いてから、そう長い時間が経ってるわけじゃないのに。
向こうにいる間、お互い忙しい日々の中、たまにメールのやり取りはしてた。
オーストラリアから帰る直前、私は、
『日本に帰ったら、彼と結婚するかも知れない』って……そうメールに書いたのを思い出した。
そんな報告をしてたこと、急にどうしようもなく恥ずかしくなった。
『真美ちゃん、結婚するんだよね。直接おめでとうって言いたかったんだ。真美ちゃんの携帯……全然通じなかったから。悪いと思ったんだけどお父さんの会社にかけた。繋がって良かったよ。でも、もう電話しないから安心して。本当におめでとう……幸せにね』
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