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・体不系
・gtus
最近、友達がコロナになり、母が風邪をひいたので書きました。
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us side
「はぁ…まじか…」
まるで頭に鉛玉でも入ってるんじゃないかと思うほど重い頭と痛む喉。それから、とてつもなく怠い体。
まさかな、とは思ったが、あまりにもしんどいので恐る恐る体温を測ってみたところ、案の定風邪を引いていた。
季節の変わり目は体調を崩しやすいと言うから、気を付けてはいたのに。
「なんかあったかな…」
冷蔵庫を覗くが、病態に良さそうな物はなかった。
───どうしよう、買いに行くか?
熱ある状態だと、考えるのさえしんどかった。だから、俺はここで選択を誤ってしまった。
「微熱だし…ちょっとくらい、いいかな…」
近所のコンビニで、一通り買い物を終え、帰路へ着いた。
先より顔が火照っている気がする。まるで体中に枷でも着いているかのように体が重い。早く、ベッドへ飛び込みたい。
近場のコンビニへ行ったはずなのに、家まで行きより遠くなったような気がする。
家に着くまで何分かかっただろうか。着いた頃にはすっかり息が上がっていた。
震える手で鍵を鍵穴に挿し、もたれるように玄関のドアを開けた。今やドアさえも重く感じる。
ふらふらと玄関に倒れ込む。床がほどよく気持ちよくて、火照った体にはちょうど良く感じた。
「体温…測らないと…」
そう言いつつ、体は一歩も動こうとしなかった。
「あ”ぁ”〜…」
思わず目を瞑ると、段々と意識が遠のいて行った───
頭の上に冷たいものを感じて、目を覚ます。
ぼやける視界、段々と浮上する意識───しまった、玄関で寝てしまった───と思いきや、俺はベッドの中だった。
額の冷たいのは、所謂冷却シートというやつだった。
「あれ、なんで…」
「あ、起きた」
「っ!?」
俺だけしか居ないはずの部屋でした声の方向を向くと、見慣れた顔があった。
「がっ…ち、さん?」
「うん、おはよ」
ガッチさんがいつもと変わらない、柔らかい笑みを向ける。
「な、なんでここに…!?」
「それは───あ、その前にちゃんと布団被っときな?」
上体を起こしたまま固まっていた俺は、寝かされて布団を掛けられた。
そして、ガッチさんは事の一部始終を教えてくれた。
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gt side
うっしーから体調を崩したとの連絡があった。
容態とかを聞いてみたけど、何分経っても返事が来ない。
寝てるだけだろう───そう思っても、どこか落ち着かなかった。心配になって、風邪に効きそうな物を持ってうっしーの家へ向かった。
大袈裟なのは自覚していたけど、無意識に足早になっていたことには自分でも驚いた。
あっという間に家に着き、インターホンを押す。
一回──二回──三回押しても出ない。やっぱり寝てるのだろうか。
やってる事は普通にやばいと思いつつも、試しにドアノブを引いてみる。───開いた。
まさか開くとは───玄関と廊下の照明は消されていた、というか、家全体の照明を消されているようだ。
流石に入ったら不法侵入だよな───と思いながら、何気なくふと視線を下に向ける───出そうになった声を寸で止める。驚いた。
玄関の床には、うっしーが倒れ込んでいた。近くには中身が詰まったコンビニ袋がある。
「うっしー!?大丈夫!?」
声を掛けても起きない、寝ている。でも、苦しそう。
顔は真っ赤で、触れてみると熱かった。これはまずい。
焦りながら、取り敢えずうっしーを家の中へ運び、ベッドへ寝かせる。
机に放られていた体温計で体温を測ると、三十九度近くまで行っていた。
うっしーは布団の中で、魘されている。
それを見て、俺は心配になり、起きるまでここに居ることにした。
■
us side
「心配も手も掛けさせちゃってごめん…」
「別にいいよ、謝ることじゃない。それより体調どう?辛くない?」
「お陰様で…全然大丈夫です…」
俺の不手際で色々させてしまったのに、まだ体調気にかけてくれるなんて───優しすぎて泣きそう。
「食欲は?」
「ん…ある」
朝に熱が発覚して、コンビニ行って、玄関で倒れてそれから少し寝て───朝から何も食べていない、流石に空腹だ。
「お粥とか作ろうか?」
「いいの…?」
「うん。キッチン借りるけど」
「…ありがとう」
ガッチさんの作ってくれたお粥は美味しかった。
風邪の時の、人に作ってもらったお粥ほど美味しいものはないかもしれない。
空腹が満たされると、また睡魔が襲ってきた。再び布団に潜り込むと、目を開けるのが精一杯だった。
「眠い?」
「ん…」
「…俺帰っても大丈夫そう?」
「だい…じょぶ…」
ガッチさんが立ち上がるのが気配で分かる。
───ガッチさん…帰っちゃうのか…。
「うっしー明日には治るといいなぁ」
「ガッチさん!!」
靴を履いて、今まさに帰ろうとしていたガッチさんの背中に叫ぶ。
呼んだのはいいけど、思わずベッドからはね起きて来たから、なんて言ったらいいか言葉が見つからない。
───まだ、帰らないでほしい───そう言うか?言っていいのか?
「どうした?」
「あ、えっと…」
言葉に詰まる。怖くて、中々口を開けない俺に、ガッチさんは優しい視線を向ける。
「…もうちょっとだけ…一緒に…いて欲しい、です…」
言えた。
風邪か否か、また顔が火照ってくる。額の冷却シートはもうぬるくなっていた。
ポカンとしていたガッチさんが、ふっと困ったような笑みを浮かべた。
そして、静かに歩み寄り、俺の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「わっ!ちょっ、何───」
「一緒にいてあげるから、病人は寝てなさいっ」
今度は、少し嬉しそうな顔をして、手を俺の頬に挟むように添えた。
「───あと、今みたいに。何かあった時は、無理せず気軽に頼ってね?」
こくりと頷く。
怒られてるのか分かんないけど、俺はなんだか嬉しくなった。
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付き合ってはいません。多分両片思いってやつです。
はぁ、gtus尊い。