■世界観
ここは、「命令」が歌となり、「街」が生きている世界。
ビルのようにそびえる巨大な樹。
その幹は金属と樹皮が溶け合い、枝は空を読み、葉は光を集める。
それらはすべて、“樹機械(じゅきかい)”と呼ばれる植物と機械の融合体。
人間はいない。
代わりにこの世界には、空を飛び、歌で世界を動かす“ハネラ”という種族がいる。
■ ハネラとは?
ハネラは、カラスのような姿を持ちながら、
光合成をし、歌を覚え、羽で光を操る生きもの。
彼らは、**「歌うことで命令を出す」**ことができる唯一の種族。
この世界において、“歌”はただの音ではない。
それは、都市の扉を開ける。
空に浮かぶ建物を動かす。
街そのものに記憶を刻む、命のコードだ。
けれど、命令がすべてではない。
感情は匂いで伝わり、意思は光で交わされる。
都市の“鼓動”を感じて語りかける者もいる。
この世界は、音・光・香り・鼓動でつながっている。
■ シエナという一羽の物語
この物語の主人公、シエナは、「歌えないハネラ」だ。
声が出ないわけではない。
けれど、命令歌を編むことができない。
この社会でそれは、“無力”とされている。
それでも、彼女は諦めない。
彼女は、光で、匂いで、虫たちと、植物と、**“言葉にならない方法”**で世界と向き合っていく。
やがて都市が“沈黙”したとき、
誰も届かなかった中心樹の声に、
彼女の光だけが、静かに応えた。
■ この物語で描かれるもの
歌えない者が、世界を変えることはできるのか?
命令されるのではなく、共鳴する関係とは?
生きるとは、伝えるとは、響き合うとは何か?
それらを、虫たちの匂い、植物動物の沈黙、
歌のない都市の再起動を通して描いていきます。
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