※この物語はフィクションです。
実在の人物及び団体、事件などとは一切関係ありません。
〈File90:肺に含めば地獄と化す〉
3階の屋根は炎と共に焼け落ちてしまった。
野次馬をかき分けるように消防車が到着し、すでに放水が始まっている。
まるでこの場に押しとどめるように、伯父さんの手が私の肩に触れていた。
いつからそうされていたのか、よくわからない。
なぜだか背負っていたものすべてを失い尽くしたような気がした。
絶えず雷雲のような煙が昇るのを、私はただ茫然と見つめることしかできないでいる。
この一瞬が間延びして、永遠のように長かった。
「あ……」
見上げた建物は炎に呑まれ、煙の中に智世の姿を見た気がした。
でもそれは気のせいで、智世だと思ったものはただの煙や、崩れた天井や壁の一部だった。
なぜ私はあんなところに智世の姿を見た気がしたのだろう。
あんなとこ**************************
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