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「昨日はずっとこんな自分になんでお前がついてくるのか分からなかった。」
「昨日は酒は飲んでないが、少し混乱しててな。」
「逃げられないと思っているかもしれんが、逃げてもいいんだぞ。」
「言い換えれば、俺はもう伊藤の代わりにお前を傷つけたくない。」
「だから、逃げてもいいんだぞ。」
父さんはやっぱり勝手に話を進めて近くのタンスを開けて通帳を出す。
「お金のことならもう心配ないよ。借金はこの約20年間で返すことができた。」
「ここにはお前の何故か家に入れてくれていたアルバイト代と今までの給料を入れてある。」
「これはお前の稼いだ金だ。」
「それに雀の涙しかないが、俺の金も入れてある。これで引っ越せるはずだ。」
「改めて言うが、許してくれなくてもいい、一生恨んでもいいが、逃げてもいいんだぞ。」
「いや、もう俺はお前を傷つけたくないから、出ていって欲しい。」
「頼む。一生償えないと思うが、俺はこの罪と一緒に生きていく。だから、」
「もう関わらないで欲しい。」
なんで、なんでそんな事言うの。
父さんが俺を傷つけた?今以外今まで傷つけられたことは無いよ。
この罪?そんな罪なんて父さんにないよ。
通帳?このお金は父さんのために稼いだんだよ。俺はいらない。
関わらないでほしい?そんなの嫌だよ。俺は一生一緒にいたいよ。
父さんといられなくなる。これは俺にとって幸せが崩れていく感覚がした。
手が震える。体が震える。
「自分から壊して新しい幸せを見つければいい。」
そうだなスマイル。
この幸せが勝手に終わってしまう前に終わらせよう。
どこかへ行く前に自分で手をかけよう。
父さんが時々料理に使う包丁を出す。
これの危険性はわかっている。けど、勝手に終わらせようとしてきているんだから、こんなことしてもしょうがないよね?
包丁を持った自分を見た瞬間に驚いて目を見開く父さん。
あいしていたのに、終わらせようとしたのが悪いんだよ?
信じていた、信じていたのに、こんなふうに考えるなんて。
終わらせようと逃げる父さんを押さえつけて包丁で父さんの足を刺し、引く。
グチョグチョ
肉の切れる音がする。
これで父さんは逃げなくなった。
父さんの恐怖によって細く、音の出る呼吸と、絶叫が入り乱れる。
恐怖に歪んだ顔も、脂汗も綺麗に見える。
自分の一挙一動で父さんの反応がどんどん酷く、絶望に向かっていく。
あいしていたのに、こんなことするからだよ。