kn「……っは、でかい…」
sha「ぼーっとしてる場合ちゃう!!はよこの扉を開けるで!!」
建物の前につき、あまりの大きさにそれを見上げ呟くコネシマ。しかし、
コネシマに向けてシャオロンはそう叫んだ。コネシマもハッとそれに気づき、その重そうな扉を思いっきり押す。
ギ………ギィィ…
kn「っ……くっそ……バカみたいに重いやん…」
sha「ぐ………急…げ……」
少しずつ開く扉、もう人が入れる隙間が出来た時。
モブ「いたぞ!!あそこだ!!」
sha「!!コネシマ!!」
kn「おう!!!」
扉を押していた手を離し、隙間に体を滑り込ませる。
すれすれで通り抜けられた体。見事に冷たい床にダイブすれば、扉はバタン…と大きな音をたてて閉まった。疲れ果て、倒れ込むコネシマ。息を切らし、肩で息をするシャオロン。しかしその時
?「そこに、誰かいるのか?」
sha「!」バッ…
kn「…!!!」ガバッ
広いこの空間に酷く冷えた声が響き渡った。突き刺すような冷たい声に思わず声がした方向を探す。
?「…誰だ?」
sha「………っ…」
一方を見てシャオロンは固まった。たらたらと冷や汗が流れだすシャオロン。コネシマは不思議に思い、シャオロンの目先に目を向ける。
そこには、2つの紅い瞳があった。
こちらを見下ろしている2つの紅い瞳。
暗くて容姿は分からないが、蛇のような鋭い眼光に息をのむ。
?「…答えないのか?」
sha「お…俺はシャオロン」
kn「……俺はコネシマや」
?「お前ら人間…なのか?」
sha「…は?」
?「申し遅れたな。」
パチンと指を鳴らす音と共に部屋を照らす灯りのろうそくが順に灯っていく。
声が聞こえた方向にいたのは、俺達より2つ下くらいの見た目をした少年だった。
しかし、先程の紅い瞳は何処にも見あたらず、ペリドットのような瞳で肘をついてこちらを見ていた。足を組み、見下ろす様は余裕綽々の様子で、妙に寒気が起こる。
zm「俺はこの館の主……。名前をゾムという。」
瞬き1つせずぺこりと頭を下げる彼。手元には分厚い本がいくつも重ねられ、捲られていたページを一度彼はパタンと閉じた。
zm「…」
それにしても綺麗な人だなと彼を見つめる。男だろうか、女だろうか…。分からないが中性的な美しさを持ち合わせた美人さんである。しかし気になる所があった。
sya(異様なまでに肌が白い…そして……鱗…?)
完全に白………というまでではないものの、確実に異様なまでの白さだ。そのうえその肌には綺麗な黒い鱗のようなものが生えていた。
zm「ここにきた理由は知らないが歓迎しよう。初めての来客だ、存分にもてなそうじゃないか。」
そう言って意味深に笑うゾム。ゾムは陰に吸い込まれていくように姿を消した。
一時の沈黙がその場を埋め尽くす。
kn「な、なぁ…これ…帰った方がええんちゃう…?」
sha「そう…やな……嫌な予感しか…しな……あれ?」
おもむろに扉を押すシャオロン。しかし、
sha「…あっ…開かな……」
サァァァと青ざめていくシャオロンの顔。コネシマも急いで押そうとするが、その扉はビクともすることはなかった。
kn「はっ!?もしかして閉じ込められたんか!?」
sha「コッ…コネシマ…」
震えた声のシャオロン。顔は不気味に引きつっており口角がピクピクと上がり少し笑っているようにも見れるが、目には涙を浮かべており今にも泣き出しそうだった。
sha「声が…聞こえない…」
kn「っぁ………!?」
確かに変だ。それこそ風の音、水の音、そのような音は聞き取れる。しかし…
kn「全く…敵兵の声が聞こえん…」
それは驚くほど奇妙なものだった。自分たちで言うのもなんだが、自分の国はかなりの脅威となっている。そのことを自覚出来るほど強いのだ。そして、そんな国の幹部を殺せたら一生衣食住に困らないと言われる程なのだ。金に飢えた敵兵たちはこんな扉で諦めるほどバカではない。
sha「ここ…敵兵たちの罠…やったり…」
kn「気を付けろ…いつ襲われるか分からんぞ…」
sha「…とにかく…行くしかない…」
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