テラーノベル
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高く積まれた木箱の山をどかそうとしたギルドメンバーの声だ。その男は尻餅をついたまま、恐怖のあまりガタガタと震えている。
「一体どうしたんす!?」
俺が叫びながら駆け寄ると、ギルドメンバーがどかした木箱の山がガラガラと音を立てて崩れ落ちた。そしてその隙間から黒い影が溢れ出してきた。
「キチキチキチキチッ!!!!」
「う、うわぁぁぁっ!! なんだこの数は!?」
「ひぃっ! 魔物の大群だ! 奥に巣を作っていたのか?」
崩落した木箱から姿を現したのは、犬ほどもある巨大なネズミのモンスターたちだった。数え切れないほどの大群だ。腐った野菜の入った木箱を思い出す。その野菜を食べ、異常なサイズに巨大化したのだろうか。モンスターたちは巣を破壊されたことでパニックになり、濁流のようにこちらへ押し寄せてきた。
「ユウト殿、下がってください!」
「アルダーさん!」
アルダーは剣を引き抜いて、俺を庇うように前に出た。
「サフラン、行くぞ!」
「了解っ! 私はいつでもいけるよ!」
サフランが力強く返事をして、背中から愛用の大剣を鋭く引き抜いた。
「てやぁーっ!」
「えーいっ!」
サフランは愛用している大剣を軽々しく持ち上げ、鋭い一閃を描く。迫り来る巨大ネズミを三匹同時に叩き切った。先ほどユウトから支給されたばかりの青いイボイボ付きのゴム軍手が、大剣の柄をがっちりとホールドしている。
「ユウト、この手袋すごいね! まったく剣が滑らないよ!」
(全然ファンタジーっぽくないけどな!)
俺は内心ツッコミを入れた。でも確かにサフランはいつも以上に刃筋に無駄がなかった。
「ユウト殿! 確かにこれは凄いぞ。エルム様に頼んで屋敷の騎士や護衛に配ろう!」
(いやいやいや、そんなカッコ悪いことやめてくれ!)
アルダーも熟練の剣技で次々とネズミを斬り伏せていく。
「キチキチキチキチッ!!」
巨大なネズミの群れは更に数を増して襲いかかってくる。近くで見るとその姿はおぞましかった。体には腐った野菜の汁がつき、埃にまみれている。強烈な悪臭が鼻を刺す。
「皆のもの、慌てるな! 武器を取れ! 二人に続くのだ!」
ギルドマスターのバオバブさんが素早く叫び、背後のギルドメンバーたちに予備の武器を次々と手渡していく。さすが商業ギルドのトップだ。緊急事態の決断と手際の良さが一流だ。
「おう! 俺たちもやるぞ!」
「アルダー殿に続けー! 行くぞー!」
ギルドメンバーたちが次々とバオバブから武器を受け取り、ネズミの突撃を迎え撃つ。 その瞬間、前線に立ったギルドメンバーの一人が驚愕の声を上げた。
「な、なんだこれは……!? この魔法の手袋のおかげで、槍が、手の一部みたいにピタリと馴染むぞ!」
「本当だ!この魔法の手袋があれば、武器が手から滑り落ちねぇ! 行けるぞ!」
その声を聞いたバオバブがこちらを向いた。
「ユウト殿、今度あの魔法の手袋を売ってくれないでしょうか。ギルドメンバー全員に配りたい」
「えぇ!?」
「もちろん金は弾みますぞ……!」
「ひぇぇぇっ!?」
思わず冒険者たちがこの世界にそぐわない軍手をつけている姿を想像してしまう。
(いやいや、流石にそれはおかしいだろう!)
ついつい突っ込んでしまった。
支給された武器を軍手でガッチリと握りしめ、ギルドメンバーたちも前線に飛び出した。
しかし、真の無双を見せたのはアルダーとサフランだった。
「てやぁぁぁーっ!!」
サフランが地を蹴り、巨大な大剣を容赦なく横一文字に薙ぎ払う。
ブンッ!
空気を引き裂く風圧と共に、最前列にいた巨大ネズミが三匹同時に消し飛ぶ。
「はぁっ! せいっ!」
アルダーもまた、剣を盾のように構えてギルドメンバーたちへの突撃を弾き返しつつ、巨大ネズミを真っ二つに叩き切っていく。二人の圧倒的な力によって、入り口付近の通路は綺麗に片付いていった。
しかし、相手はあまりにも多勢に無勢だった。
「キチキチキチキチッ!」
「くっ……まだいるのか!」
「倒しても倒してもキリがないよっ」
どれだけ倒しても終わりが見えない。木箱の奥にある暗い隙間から、無限に新しいネズミのモンスターが湧き出してくる。斬られた仲間の声や臭いに刺激されたのだろうか。勢いはさらに増していく。
「これではラチがあかない! ユウト殿、一旦引いて態勢を立て直すべきです!」
アルダーが剣を振るいながら、焦りを含んだ声をあげる。俺は一歩下がって思考を巡らせた。ギルドメンバーたちも、じわじわと体力を削られているのが分かった。
「まだいるのか……!」
「はぁ……はぁ……もう、無理だ……」
(この数……一体どこから湧いてるんだ……? 必ず発生源があるはずだ)
戦うアルダーたちの激しい動きの隙間から、魔物の動線を見極めようと目を凝らした。木箱の最奥、一番激しくネズミが溢れ出している中心部。そこに、ドロドロに腐った野菜の汁が完全に染み込んで、崩壊しかけている特大の木箱が半分埋もれているのを見つけた。
(ビンゴ。あの腐った野菜の詰まった木箱が、害獣どもの完全な本拠地っすね)
#恋愛
ばたっちゅ
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コメント
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みぅだよ🤍🥀 第25話読了〜! 軍手が大活躍するの、めっちゃ笑ったw ファンタジー世界に不釣り合いすぎて逆にアツい……!アルダーさんとサフランが「これすごい!」って感動してるのが可愛くて、でもユウトの「やめてくれ」って内心ツッコミがまた良き😂 そしてラストの「ビンゴ」で一気にクライマックス感出てきて、次が気になりすぎるよ…!また読みにくるね🖤