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雲雀side
俺とKNTは親友に戻った。
しばらく続いていたあの噂も
KNTの人柄のおかげか無くなっていた。
風「ひば~!」
そして、あれからKNTは俺から離れない。
なんで?
そう聞けば、また居なくなるじゃん。
なんて言ってきて。
誰だよ、俺の事忘れたヤツ。
なんて思ったけど言わない。
俺、今すっげえ楽しいから。
1度は離れたけどやっぱり、
KNTといる時が1番落ち着く。
もう離れねぇし居なくなんねぇよ。
大学に入って2回目の夏。
突然KNTに「海行かね?」そう誘われた。
渡「海?焼けるじゃん、やだ」
風「なぁんでよ!いいじゃん、
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ね!ひば!お願い!」
焼けるから嫌。そんなのは嘘。
本当は、2人で行ったら
泣いてしまいそうだから。
KNTに彼女が出来た次の日が、
俺らの記念日で1人あの海に行って泣いた。
だから嫌だった。
何度断っても誘ってくるKNTに根負けして
「分かった」と返事をした。
それから勝手に日程を決められ、当日。
風「ひば~!こっち~!」
渡「⋯るせえ」
朝からテンションの高いKNT。
子供かよ。
待ち合わせ場所にあの駅を指定したら
「え!ひばあの駅最寄り?」
なんて言ってきて。
やっぱり忘れてるんだ。って
なんか悲しくなって。
ルンルンなKNTの後ろを着いていけば、
バスに乗って気がつけば海。
やっぱりあの海。
バスを降りて「こっち」と
海水浴をしている所とは少し離れたところ。
⋯告白をされた場所。
そこに連れていかれた。
ジリジリと照りつける太陽。
輝く海。
冬に来るのとはまた違うな⋯。
なんて海を眺めていた。
風「ここさ、僕よく来るんだよね」
海を眺めたまま話し始めた。
⋯あれ、これ。
あの時と一緒じゃね。
⋯デジャブ?
風「嫌なこととか、嬉しいこととかとにかく
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎何かなあった時はここに来るんだよね」
一語一句一緒じゃん。
だから俺も
渡「⋯ふーん」
一語一句同じこと返してやる。
風「え?!そんだけ?!反応薄!」
渡「んー、いや。意外だなって思っただけ」
風「⋯意外?」
渡「うん。だって、悩みとかなさそうじゃん」
嘘。
悩みあるよな。KNTにも。
あの時の俺は馬鹿だったんだよ。
でもさ、俺今でも馬麗だから
同じこと言うんだ。
そしたら少し寂しそうな
悲しそうな顔をして笑った。
今度は何を抱えてる?
風「悩みくらい⋯⋯あるよ。僕にも。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎振り向いて欲しいやつに
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎振り向いて貰えないとかそんなこと」
⋯え?
渡「⋯誰」
今度は誰に恋したんだよ。
もう意り懲りしたんじゃねぇの?
てか次はもう、俺耐えきれねぇけど。
風「⋯言わない」
あの時と一緒だな。
あの時は俺だった。
今は?
誰のこと考えてる?
風「⋯ひばは?なんかないの?」
俺は。
俺はずっと悩んでるよ。
お前のこと。KNTのこと。奏斗のことで。
渡「俺は…俺の事忘れられて
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎振り向かせたいのに俺が逃げて。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎結局、振り向かせるなんて無理で。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎好きなのに振り向いて貰えねぇ。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎そんなとこかな」
風「ひばのこと忘れるなんて、
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎最低なやつだな」
俺を励まそうとしたのか笑ってそう言った。
⋯お前の事なのにな。
渡「⋯だな。俺、こんなかっこいいのにな」
風「かっこいいとか
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎自分で 言うもんじゃないじゃん」
なあ、奏斗。
今度はさ、俺から言っていい?
あの約束。
まぁもう一生守られねぇと思うけど。
渡「なぁ、KNT」
風「⋯ん?」
渡「その、振り向いて欲しいやつに
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎振り向いて貰えたら⋯報告しろよ」
風「んぇ?はは、いいよ。もちろん
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ひばも報告するっしょ?俺に」
渡「当たり前」
はぁ…。
なんでかなあ。
なんで俺、自分で自分の首締めてんだろ。
アホすぎ。
でも、俺は、俺は、KNTが
奏斗が笑っていればそれでいいって思ってる。
奏斗の幸せが俺の幸せだから。
あの後、しっかり海水浴をして焼けた。
⋯痛い。
うん、日焼けってこんなんだっけ。
ヒリヒリすんの。
日焼け止め塗ったはずなんだけど。
隣のKNTは満足そうにしていて、
まぁいいかなんて思った。
夕方になって、
海を後にして2人でご飯を食べてあの駅。
風「ひば!ありがと」
渡「なにが?」
風「今日、来てくれて?」
なんで疑問形なんだよ。
渡「俺こそ、ありがと」
風「なにが?」
渡「今日、誘ってくれて?」
KNTの真似をすれば
「なんで疑問形!」なんてつっこんできて。
やっぱり、KNTといる時飽きねぇわ。
風「ありがとな、ひば。色々」
渡「ははっ、なんのことだか」
何となく。
なんとなくだけど、3年前の夏休みと重なる。
夏祭りに誘って、行って。
そしたら、海に誘われて。
久しぶりに見た海に感動して。
俺のその顔が見たかったとか言われて。
渡「じゃ、また」
風「じゃ」
背を向けてあの時みたいに歩き出す。
もう1年、一緒にここを歩いていない。
風「ひば!」
少し歩いた所でKNTの声。
振り向くと
風「僕、ひばと友達でよかった!
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎親友で!じゃ!」
要件だけでっかい声で伝えて
そのまま歩いていった。
渡「ははっ!いい逃げかよ」
⋯俺も。
俺も友達で良かったよ。
親友で良かった。
ありがとな。KNT。
大学2年の夏。
KNTと親友に戻ったことを
後悔しない夏になった。
それから季節を越して冬。
2月。
また俺は、来るはずのない
奏斗を待ってここに来る。
アネモネ⋯の花は持ってない。
なんか女々しいかもって思って。
とは言っても家には
アネモネの花が飾ってある。
俺は…
俺たちは3年になった。
関係は変わらないし、
KNTから振り向いてくれたっていう
報告はない。
てか、相手誰?
気になりすぎて夜しか寝れねぇんだけど。
寝れてるじゃんって?
うるせぇ。
相変わらず「ひば〜!」ってくっついてきて。
「うぜぇ⋯」なんて言ってる俺も
内心クソ嬉しい。
風「次、サボろうぜ」
渡「単位落とすんじゃね?」
風「大丈夫!落とさないように考えてるから」
イエイってピースしてくる。
調子よすぎじゃね?
まぁ、俺も考えてるんだけど。
そうと決まったなら!って校舎裏に
連れていかれて。
2人でゲームしたり、
くだらないこと話したり。
あっという間に1時間半なんて過ぎていって。
こうしてサボれるのも今年までか。
なんて思ったら急に寂しくなったり。
来年は就活で忙しくなるから、
今のうちに楽しまないとなぁ。
風「⋯ば!ひば!」
渡「んぇ?なに?」
風「なに?じゃねぇって、俺の話聞いてた?」
渡「⋯」
風「聞いてねぇじゃん!もう⋯」
そう言ってもう1回話し出すKNT。
・・・結論、まじで面白くなかった。
でもこうして話すのも少なくなるのか。
面白くねぇって笑うのも。
就職先も同じじゃなきゃ
ほんとに会うことは少なくなる。
少し⋯いや、だいぶ寂しいわ。
風「なに、ひば。そんな悲しい顔して」
渡「んー、なんか寂しくなった」
風「⋯へ?」
渡「いや、さ、こうしてKNTと話せるのも
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎サボれるのも
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎今年が 最後かって思ったらさ」
何を素直に言ってんだか。
そう思った時、頭に懐かしい感覚。
俺の大好きな。
風「かあいいね、ひばは」
渡「⋯っ!なん⋯だよ、急に」
KNTの手でクシャってされる。
風「顔、赤くなってる。なに照れてんの?」
渡「んなわけねぇだろ」
風「そっか」
あぁ、泣きそう。
懐かしすぎて泣きそう。
てか覚えてたんだな、俺。
あの感覚。
そりゃそうか。
抱きしめられた感覚だってまだ覚えてるし。
風「ひば、俺らって親友じゃん?
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎だから、卒業したって一緒に居るよ。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎職場違くたって多分週4くらいで
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎会ってるよ」
渡「ははっ!週4とか多すぎんだろ」
KNTらしい。
てかKNTならそうしてきそう。
風「俺は意外と本気だよ?」
渡「そうかよ」
大学3年の春。
今年も、気持ちよく過ごせっかな。
最後のキャンパスライフってやつ?
楽しんでやろ。
コメント
1件
良かったです!