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雲雀side
春が過ぎ、夏。
今年も暑い夏がやってくる。
就活前最後の夏。
絶賛楽しみ中。
⋯のはずがデジャブ。
今、俺の日の前でぶっ倒れたKNT。
体育祭の時を思い出すくらいのデジャブ。
今回は、朝イチでぶっ倒れた。
渡「KNT!」
風「⋯んっ⋯はぁっ」
慌てて支えれば、苦しそうに息をしてる。
とりあえず運びたい⋯けど、
ここ保健室ってあんの?
いやわかんねぇ⋯。
とりあえず、俺の家?
近くでタクシーを拾って、俺の家まで急ぐ。
家の前に到着してお金を払って、
KNTをおんぶする。
⋯確かあの時は、
横抱きにしたら結構な期間顔赤くしてたっけ。
背中で苦しそうなKNTを見て思い出す。
玄関を開けて、部屋へ一直線。
⋯とりあえずベッドに寝かせて
⋯あ、冷えピタ⋯
渡「⋯ごめん、冷たいかも」
聞こえてはないと思うけど一応声をかけた。
冷えピタを貼れば「んっ」と動くKNT。
とりあえず、大丈夫そうか?
渡「何かあったら呼んで」
聞こえてないと思うけど
それだけ言って部屋を出た。
大学⋯はまぁいいか。
ソファに寝転がって、
携帯をいじっていると突然の睡魔。
渡「ふぁ⋯ねむ」
KNTは結構な熱だったし、起きねぇべ。
そう思って少し寝ることを決めた。
携帯を閉じて、目を瞑る。
⋯⋯夢を見た。
あの、幸せな頃の俺たち2人の夢。
笑いあってて、幸せそう。
今も十分幸せだけど、
それ以上に幸せで溢れている。
風『⋯り。雲雀』
多分一生聞くことは無い。
それでも、夢の中だけでも聞けたのが嬉しい。
奏斗。
俺も呼ぼうと思った時ツンツンと
なにか触れた感触で意識が浮上する。
あと⋯少しだったのに。
風「⋯ば。ひば」
この声⋯
渡「かな⋯と?」
ふいに呼んでしまう。
風「うん。奏斗。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎間違いないけどさいきなり
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎名前呼びとかやめてよ」
ベジッと叩かれてようやく分かる。
日の前にいるのは、
KNTであって奏斗ではない。
渡「⋯ん、ごめん。KNT」
風「いーよ」
…って、なんでKNTがここに?!
渡「おまっ⋯!」
風「はは、もう大丈夫!元気元気。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎てかここひばの家?」
渡「大丈夫って⋯。そうだけど」
風「そっか」
それだけ言って部屋をぐるっと見渡した。
なんか物珍しいものとか置いてたっけ?
まあいいけど。
起きてきた時には熱も下がってたみたいで
ほんとにピンピンしてやがる。
なんで熱があんのに来たんだと
理由を問いつめれば「
気づいてなかった、まじで」と熱弁。
気づかないとかあんのかよ⋯。
風「なぁ、ひば」
なにはともあれ良かったと胸をなでおろし
お腹すいてると思ってKNTのために
キッチンに立っていると急に呼ばれる。
渡「なに?」
風「花火大会行きてぇ」
⋯え?
渡「行けばいいじゃん」
風「相手いねぇじゃん」
渡「探せよ⋯」
風「んー」
なんて返事をしたKNTを無視して
手に集中力を戻して、お粥を作り上げた。
ひと口⋯って食べれば、
俺にしてはなかなかな出来じゃね?
ってくらい美味しかった。
⋯ありがとう、セラお。
いつだかに聞いといて良かったわ。
渡「ん、食えよ」
お皿にお粥をよそってKNTに持っていけば
なんかすごい日を輝かせてて。
渡「⋯んだよ、冷める」
風「え、あぁ、うん。ひばって料理出来んだ」
渡「ん?出来ねぇよ、これだけ作れんの」
風「へ?なんでお粥だけなの」
渡「セ⋯、友達になんかいつだかに
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎これだけは覚えとけーとか言われて
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎教えてもらった」
風「ふーん。⋯っ、うまっ」
良かった。
そのまま食べ続けて完食してくれたKNT。
ご飯食べてもらうって
こんなに嬉しいことなんだな。
⋯料理、始めようかな。
風「ありがと、ひば」
渡「いーえ」
風「⋯で、ひば。花火大会一緒に行かね?」
食べ終わって、皿も片付け終わった頃。
KNTが俺を見て言ってきた。
渡「⋯好きなやつと行けよ」
振り向いて欲しいやつがいるって
言ってたじゃねーか。
風「それとこれとは別じゃん?
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎まだ告ってもないのに花火大会とか
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎おこがましいじゃん」
渡「俺はいいのかよ」
風「親友じゃん」
はは!と笑うKNT。
親友の扱い雑すぎね?
でも、まぁ、KNT。からの誘いだし?
もし告白とか成功したら、
俺の出番なくなるし?
渡「親友として花火大会一緒に行ってやる」
親友でもさ、なんでもいいから
俺を必要としてくれてる事が嬉しくて。
少しの懐かしさを持って、
あの日と同じ場所に花火を見に行く。
花火大会の日になって、
少しテンションが上がってるのを自覚。
頬が緩みまくってる自覚。
⋯キモくね?俺
懐かしくなって、引き出しに閉まっておいた
奏斗との写真を眺める。
変顔をしてる奏斗。それを見て笑ってる俺。
いつ撮ったんだっていう俺の寝顔。
疲れきって俺の家来て速攻で寝やがった
奏斗の寝顔。
全て愛おしくて。
あの頃の奏斗は居ない。
だけど、奏斗は奏斗で変わらない。
だから、好きで、諦めきれなくて。
親友なんて立場に居て。
なんか奇跡とか起きて、
俺の事思い出した!とか言ってくんねぇかな。
写真に写る俺らをみてありもしないことを
願ってみる。
写真を見ていたら結構時間が
経っていたらしく慌てて家を出る。
こんな暑いのに少し走ったおかげで
汗が止まらない。
まじ最悪。
風「あ!ひば〜!」
服をパタパタとして自分に風を送っていると
少し遠くからKNTが俺を呼んでいた。
風「おぉ、すっごい汗かいてんね」
渡「時間やべえって思って走ったから、
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎まじであちぃ」
別にいいのに、少しくらい。なんて笑ってる。
いや、なんか、人として?遅刻って嫌じゃん?
風「ひばが来たことだし、行こ」
少し汗が引いてきた頃、
KNTが楽しそうに歩いていった。
その後ろを着いていくと、
やっぱり最初は焼きそばの屋台へ一直線。
高校生に戻った気分だわ。
花火見に来たはずなのに、
屋台に盛り上がって結局途中から見ることになって。
それでも、KNTと見る2回目の花火。
幸せだった。
周りはカップルばっかで、
イチャイチャしてたけど。
羨ましいかって?
んなわけねぇじゃん。
奏斗と2人で花火見てんだぜ?
これ以上の幸せねぇって。
風「いやー、綺麗だったわ」
渡「だな、花火とかまじ何年ぶり」
風「学生の特権だな〜」
大学生活、実質最後の夏休み。
花火と、KNTの笑顔と共に終わっていった。
夏休みが終わればいつも通りの講義が
待っていて単位が足りる程度にサボって。
2月になって、1人で海に行って。
大学生活最後。
4年に俺たちはなった。
風「うわ~、なっちった4年」
4年になって初日、早くも頂垂れてるKNT。
まだ何も始まってねえのに。
風「ひばってどこ受けんの?」
渡「んー、〇〇とか、その辺?」
風「ふーん、サラリーマンか」
無難にサラリーマン。
特に夢とかないし、特技もないから。
渡「KNTは?」
風「僕は、なあんも決めてないね」
決めとけよ!なんてツッコミは心にしまう。
まだ4月だし。
それから、月が変わる事に
忙しくなっていった。
面接を受けは落ち、また、面接。
就活ってこんな大変なの?!ってくらい大変。
KNTとも全然会ってないし。
てか、面接とかで疲れすぎて
最近ろくに飯も食べてないんだけど平気?俺。
帰ったら直ぐに寝て、起きたら家を出て。
そんな生活を送っていれば、
体にガタが来るもので。
6月半ば。
今日は面接は無いけど、講義はあるし⋯。
体にムチを打って家を出た。
⋯までは良かった。
大学までなんとか着いて、
校内にって時グラッと目眩がする。
なんか気持ち悪くて、
目の前もグルグルして思わずその場に蹲る。
⋯はぁ、しんど。
マジ勘弁。
いくら蹲って目を閉じていても治らない。
そんな時後ろからKNTの声がした。
風「ひば?!」
俺の前に立って、心配そうに顔を覗く。
風「ちょ⋯ひば!立てる?」
KNTに支えられながら立ったはいいけど
全くと言っていいほど体に力が入らない。
おまけに、眠くなってくる。
風「ひば!⋯ひば!」
焦った声のKNTを最後に俺は意識を失った。
夢を見る。
『雲雀』
そう言って優しく微笑む奏斗。
『奏斗』
そう言えばクシャっと撫でてきて
『かあいい』と言う。
口癖みたいに言ってたよな⋯。
可愛いじゃなくてかあいい。
奏斗….
あんな強気だったけどさ、やっぱり寂しいわ。
辛いわ。
抱きしめてくんねぇんだもん。
『⋯ごめんな、雲雀』
困ったように笑う奏斗。
そして、ギュッと抱きしめてくれる。
懐かしくて離したくなくて、
必死に抱きしめる。
そして、止まることを知らない涙。
『大好きだよ、雲雀』
俺も⋯俺も。
『大好き⋯奏斗」
風「⋯ば!ひば!」
でっかいKNTの声で意識が浮上する。
渡「⋯ん」
風「大丈夫?泣いてたけど」
泣い⋯てる?
俺が?
KNTに言われて目元を触れば
しっかり濡れていて。
渡「⋯大丈夫、ごめん。てか⋯ここ」
3年ぶり。
3年ぶりの奏斗の家。
懐かしい。
風「俺の家、ぶっ倒れるからさマジ焦った」
渡「⋯ごめん、迷惑かけて」
風「気にすんなって、
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎今日講義しか無かったし」
もう少し寝てれば。
そう言ってクシャっと撫でてくる。
⋯夢。夢じゃなければ良かったのに。
そう思いつつまた俺は眠りに着いた。
コメント
1件
一気に見させてもらったけどマジ神!涙で琵琶湖できそう