数日後、拠点は少しずつ安定してきていた。新たにテイムした小型肉食獣たちが、周囲を守るために活躍し、いさなの戦術が徐々に形になりつつある。しかし、そんな平穏も長くは続かなかった。トラが再び現れたのだ。
「また来たのか…」いさなが冷静に言った。彼の目は鋭く、すでに次の行動を考えている。
「でも、今度はどうするつもり?」萌香が不安そうに尋ねた。
「今度は違う方法で対処する。」いさながそう言うと、みりんもゆうなも不安げに顔を見合わせた。
「いさな、まさか…」ゆうなが言葉を選ぶように言った。
「そう、今度は『トラをテイム』する。」いさなの言葉に、一行は驚きの表情を浮かべた。
いさなは素早く計画を練り、必要な準備を整え始めた。まず、トラを引き寄せるために罠を仕掛けることに決めた。罠を仕掛ける場所は、以前トラが現れた地点の近くだ。
「獣をテイムするのはかなりの手間だ。猛獣は、言うことを聞かないからな。」いさなは慎重に罠を設置しながら言った。
「でも、どうやってトラをテイムするの?」萌香が不安げに尋ねる。
「まずは捕らえることだ。捕まえたら、戦力として使えるように調整する。」いさなが冷静に答える。
罠の設置が終わると、いさなはその場から少し離れて、獲物を待ち続けた。夜が訪れ、月の光がジャングルを照らし出す中、一行は息をひそめてトラの動きを観察していた。
その夜、罠に引っかかったのは予想通りトラだった。捕らえられたトラは大きな声で吠え、怒り狂っていた。だが、いさなは冷静にその様子を見守っていた。
「これが、私たちの試練だ。」いさなが低い声で言った。
トラの怒りを鎮めるためには、時間がかかる。いさなは慎重に、しかし確実に接近し、獣の目を見据えた。力任せでいけば、暴れるだけだと彼は理解していた。トラとの距離を少しずつ詰めながら、穏やかな声で語りかける。
「怖くない、怖くない。」いさなは静かに呟いた。
その言葉が、トラに少しずつ届いたのか、暴れた動きが次第に落ち着いていった。いさなはさらに慎重に、トラの首を支配するように手を伸ばした。
「よし、いける。」いさなが心の中で呟いた。
何時間かの格闘の後、いさなはついにトラを完全にテイムすることに成功した。トラは彼の言うことを聞くようになり、その姿勢はまるで忠実な仲間のようだった。
「すごい…本当にできたんだ。」みりんが驚きの声を上げる。
「これで、戦力がさらに強化されたな。」いさなが満足そうに微笑んだ。
トラをテイムしたことで、いさなの戦術は一層強固なものとなった。数の力を補うために小型肉食獣を使うだけでなく、今度はトラのような大型獣を味方につけることができたのだ。
「万全だ。」いさなが満足そうに言うと、一行は新たな力を手に入れた喜びを感じながら、次の戦いに向けて心を決めた。
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