「そんな反応をしても駄目よ。今日は暴露大会なんだから!」
春日さんは目をキラキラさせていて、逃れられない雰囲気だ。
「え、えーと……」
尊さんにも『言い過ぎるな』と釘を刺されていたので、私はどこまで言うべきか悩む。
けれど春日さんにせき立てられてしまった。
「考えるな!」
「う、ううう、……や、優しい……。……けど、スイッチ入るとヤバイ。あと、体力お化け。気持ちよくなって、訳分からなくなってぶっ飛んで、目が覚めたら体を隅々まで綺麗に拭かれてある……」
「「フゥウウウゥウーーーー!!」」
今度は春日さんとエミリさんが、両手の人差し指でツンツンと上を指しながら盛り上がった。
「速水尊!! フゥウウウゥウーーー!」
エミリさんは片手をブンブン振り回し、もう片手でビールの缶を掲げている。
「我が親愛なる復讐のエロエロ御曹司に!」
それに合わせ、悪ノリした春日さんがソファの上に膝立ちになり、腰に手を当ててエミリさんと乾杯し、ゴッゴッゴッゴッ……と飲んでいく。
あかん。この人たち、ただ騒いでで飲みたいだけだ。
「朱里さんはそんだけ胸が大きいんだから、揉みがいがあるし、柔らかそうでいい体してるから、気持ちいいでしょうね~」
春日さんはそう言って私に体を寄せ、「はい、笑って~」と言ってインカメで写真を撮った。
そのあとスマホを私の腰に向け、太腿の付け根辺りを撮る。
「ちょ、ちょっと!」
さすがに……と思って慌てて両手で隠すと、春日さんはニヤニヤしながら「速水尊、そーしん!」と写真を送ってしまった。
「…………なんて事してくれるんですか……」
私は呆然としたあと、真っ青になってスマホを手に取り、尊さんとのトークルームを開くけれど、やっぱり彼からの反応はない。
「尊さん、なんて?」
「……やっぱり何もありません」
「寝てるんじゃないの?」
言われて時計を確認するけれど、週末の深夜ならまだ起きているはずだ。
「みこぉ……、ミコトサーン……」
春日さんとエミリさんは、私が鳴き声を上げる姿を見てニヤニヤする。
「今頃どうしてると思う?」
「可愛い恋人の太腿を見て、ムラムラしちゃってたりして! ヒヒヒヒ!」
大喜びしている春日さんを見て、私はアカリンが尊さんによってもみくちゃにされている妄想をする。……いやいや。
(それにしても、春日さんにいい相手が見つかるといいけどな。誰か紹介できたらいいけど、私にはそんなツテはないし……)
そう思った時、フワッと神くんの顔が思い浮かんだ。
「ん?」
思わず口に出してから、私はスナック菓子をサクサク囓ってから「うん」と頷く。
いいかもしれない。
……でも神くんは曲がりなりにも私を好きだと言ってくれたわけで、私から彼に「春日さんってお嬢様がいるんだけど、どう?」なんて言えないな……。
(でも、なんとなく合いそうな気がする。神くんはオラオラじゃないし、物腰柔らかなほう。でもしっかりしてるし自分の意見も持ってるから、彼ならバブちゃんにはならないんじゃないかな。それに御曹司にお嬢様で、いいんじゃない?)
とてもいいカップルに思えたけれど、問題はどう引き合わせるかだ。
(二人とも自分の矜持を持っているから、下手な事はできないな……。そして何より、私から働きかける事は神くんへの裏切りだ)
仮に私が尊さんに片思いしているとして、尊さんに振られたのに彼から「いい相手がいるんだけど、どう?」なんて言われたら、悲しさと屈辱でおかしくなってしまう。
(あの時、神くんは軽い感じで告白したけど、どれぐらい私を真剣に想ってくれていたんだろう? 御曹司の彼なら、親御さんが相手を用意してもおかしくないけどな……)
考えれば考えるほど、神くんともっと話しておけばよかったと後悔してしまう。
グルグル考えていると、春日さんに押し倒されてしまった。
「えっ!? ちょっ……」
びっくりしたままソファの上に仰向けになると、春日さんが髪を掻き上げニヤニヤ笑っている。
「悪いのはこのぱいか!」
「ぱいは無実!」
知らない間に話が転がっていったらしく、私は両手でバッと胸元を守る。
「???」
訳が分からずエミリさんを見ると、彼女は裂けるチーズを丁寧に裂いてフサフサにしながら首を竦めた。
「難しい顔をして黙ってたけど、考え事? こっちはサカリティなミコティの話で持ちきりだったんだけど」
コメント
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エロエロ御曹司ミコティ、最高~~‼️😂😂😂👍️💕💕 かんぱーい‼️✨🍻🎶
ヒューヒューッ(*´艸`)💕ガン見隊も エロエロ御曹司に乾杯してゴッゴッゴッ(*゚▽゚)ノ🍺と飲んでます❣️ꉂ🤣𐤔