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ROY

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みむら
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side 🩷
「うぅ〜〜…」
鏡に映る、真っ赤な顔をした自分。
うわ、耳と首まで真っ赤になってる。
恥ずかしい…っ!!
目黒さんと目が合って、ふわっと優しい笑顔を向けられたあの瞬間が脳内で延々とリフレインしている。
あの笑顔が本当に自分に向けられた物じゃないかもしれないのに。
仮に自分に向けられた物だとしても、ただの愛想笑いなのに。
うちの会社は岩本社長をはじめ、男性社員の顔面偏差値が高いからイケメンには慣れてるじゃない。
「チョロくない?私」
自分でも否定出来ない。
これが一目惚れ…ってやつなのかもしれない。
「ラウールくんに絶対ばれてる…」
察しが良くて頭の回転が速い彼のことだ、私の反応で絶対気付いてる。
「明日からかわれるじゃん…!どうしよう、何かお菓子かなんかあげて口止めしなきゃ…!」
ラウールくんはうちの商品の試食品を誰よりも食べているから、食べ物をあげたら黙っておいてくれるだろう (舐めすぎじゃない? byラウ)。
顔の熱はまだ下がらないけど、口止め料のお菓子を買うために、意を決して女子トイレから出た。
「お、佐久間。おつかれさま」
「あっ、阿部ちゃん おつかれさま」
ちょうど女子トイレの前を通りかかった同期入社で経理部の阿部ちゃん。
社内で1番仲の良い社員だ。
顔赤いの気付かれてないと良いけど…
「これから帰る感じ?」
「うん。ちょっと買い物してから帰ろうかなって…思って」
気付かれたくないから顔を上げられない。
変だよね?なんだこいつ?って感じだよね…
「ちょうどよかった、俺も帰るところだから一緒に帰ろっか」
「へぁ!?あ..そうだね。一緒に帰ろ..」
「何だよその反応」
「やっ..何でもない!ごめん今日暑くってぼーっとしちゃってて…あ、あと化粧がよれてるから顔変かも!」
苦し紛れの言い訳。
んー?そう?って言いながら私の顔を見ようと屈む阿部ちゃん。
「いつも通り可愛いけど」
そう言って女性社員皆が骨抜きになるようなあざとい笑顔でそんな台詞を言う。
「〜っもう、やめてよ。逮捕するぞ」
「あざとい警察です、逮捕〜」といつもの私達だけのノリで阿部ちゃんの二の腕にグーパンをすると、「よかった、いつもの佐久間だ」と声を出して笑ってくれた。
「買い物に付き合わせちゃってごめんね?」
「全然。新作のお菓子買えて良かったね」
「うん。中々手に入りづらいってSNSに書いてあったから、運良く買えて良かった」
「でも何でラウールにも買うの?誕生日近いっけ?」
「口ど..いやっ、この間お菓子貰っちゃったからお返し!デスク隣だから、よく交換こするの」
自分でも笑っちゃうくらい、苦し紛れの言い訳。
口止め料なんて言えない、言いかけたけど。
「そうなんだ、…あ、佐久間が嫌じゃなかったら夕飯一緒にどう?ちょっと行きたいお店があってさ」
「全然良いよ!行こう」
阿部ちゃんが連れてきてくれたのは雰囲気の良いイタリアンのお店。
こんな素敵なところ、一緒に行くのが私なんかで良かったのかな。
「ねぇ、私で良かったの?こんな雰囲気の良いお店」
彼女と来た方が良かったんじゃない?という意味を込めて。
「このお店見つけた時、佐久間が何となく頭に浮かんだんだよね〜。」
嫌だった?と優しい笑顔を私に向ける阿部ちゃん。
「いつか俺に彼女が出来た時のためと思ってよ。別に佐久間も今彼氏いないでしょ?」
「まぁ、そうだけど…」
ね、入ろ。と触れるか触れないか分からないくらいの距離感でエスコートしてくれる。
私の知っている限り、阿部ちゃんの浮いた話は聞いたことがない。こんな完璧な人に相手がいないのが不思議でしょうがない。
「ふわぁ〜、どれも美味しそう…迷っちゃうなぁ」
「好きなの食べなよ、食べきれなかったら俺が代わりに食べてあげるから」
そんなこと初めて言われた。
…なんか、今日の阿部ちゃんいつもと違う、気がする。
「…なんか今日の阿部ちゃん、いつもと違くない?」
「え、いつもこんな感じじゃなかったっけ?」
「違うよー、いつも私に辛辣な言葉かけてくるじゃない。今日の阿部ちゃん、何か優しい」
「まぁいいじゃん、頼もうよ」
変な阿部ちゃん。
頼んだ料理はどれも本当に美味しくて、さっきの変な阿部ちゃんのことはすっかり忘れてデザートに舌鼓を打っていた。
「そういえばさ、佐久間すごい勢いで事務所出てってたけど、何かあったの?」
「ぶっっ!!!!なっ何いきなり」
あれ?あの時阿部ちゃん居なかったよね?
「いや、ちょっと深澤さんに用事があって事務所出てたんだけど、戻った時にすれ違いで佐久間が事務所から出てきたからさ、何かあったのかなって思って」
「ラウールに聞いても、”さく美さん、どうしたんでしょうね〜”しか言わないし」
「とっ…トイレ行きたくて」
「ふぅん」
真剣な顔でジッと見られる。
「ねぇ、阿部ちゃん、今日どうしたの?やっぱりいつもと違うよ?」
「別に俺はいつもと変わらないよ?様子がおかしいのは佐久間でしょ?」
で、何があったの?と。
逃してくれるつもりはないようだ。
「〜〜っ…絶対に誰にも言わないって約束してくれる?」
「うん、誰にも言わないよ。約束する」
「本当に?」
ふわっとした優しい阿部ちゃんの笑顔が、あの時の目黒さんの笑顔と重なる。
だんだん顔がまた熱くなる。
私、すごく失礼なこと考えてる。
「カナダ支社から来てた目黒さん…」
「うん?目黒がどうしたの?」
「多分私の勘違いなんだけど…私に笑いかけてくれて..それで」
失礼だって自覚してるから阿部ちゃんの目を見れない。
「今までにないくらいドキドキして、訳わかんなくなっちゃったの。それで、あんな感じになっちゃった…」
阿部ちゃんは黙ったまま。
私は私で何故か阿部ちゃんの顔を見る事が出来ないままでいる。
沈黙が続いて、お店の雰囲気の良い音楽だけが響いている。
ややしばらくして、阿部ちゃんが静かに深呼吸をした。
その後、テーブルから視線を動かせないでいる私の頭に大きな手が乗った。
「あべちゃ…」
「目黒のこと、好きになっちゃったの?」
大きな手がそのまま私の頭を撫でる。
「好きってことなのかな。私、目黒さんのこと何も知らないんだよ。でもドキドキして苦しいの」
「その好きが恋愛での意味でも、芸能人とかに向ける憧れの意味の好きでも、ドキドキするよね?特に目黒はあのルックスだし、男女問わず惹かれる人は多いかもね?」
頭を撫でてた手が降りてきて私の頬に触れる。
「まだ目黒の事を知らない中で、恋愛の好きって決めつけない方が良いんじゃない?同じ会社だしね」
優しいけど、少し圧を感じる声色で淡々と。
やっぱりいつもの阿部ちゃんじゃなくて、私は戸惑うことしか出来ないでいる。
「俺は佐久間に苦しい想いをしてほしくないんだ。佐久間のことを1番大事に想って大切にしてくれる人と幸せになって欲しいな」
阿部ちゃんはそう言って最後にもう1度ポン、と頭に手を置いて立ち上がった。
「無理矢理話させてごめんね、そろそろ行こうか」
奢るよって言ってくれたけど、私の話ばっかり聞いてくれたから、と会計時に押し問答。
阿部ちゃんは不服そうな表情をしていたけれど、間をとって割り勘で了承してもらった。
すぐに計算出来るのはさすが経理部だな〜って感心していると、「おい、経理部舐めんなよ」といつもの阿部ちゃんに戻っていた。
「今日はありがとうね」
「ううん、全然良いよ。」
阿部ちゃんの方が家が遠いから送らなくて良いって言ったのに、最寄り駅まで送る、と全く譲ってくれなかった。
先程のやりとりの阿部ちゃんの言葉がずっと頭に残っている。
「ここで大丈夫だから。気をつけて帰ってね」
「佐久間もね。夜道気をつけなよ。また明日」
そう言ってまた大きな手で私の頭を2回優しく叩いた。
私だけ改札を出て、阿部ちゃんが乗る電車のホームに消えたのを見届けて帰路に着いた。
恋愛の”好き”なのか
憧れの”好き”なのか
私が判断するには、目黒さんのことを知らなさすぎる。
明日、少しだけ話しかけてみようかな。
自分への好意にはとことん鈍い🩷ちゃんです。
💚は遠回しに告白してるつもりなんですが、今の関係性を崩したくない男心が邪魔をしています。
If storyで💚🩷になった場合を書けたらな〜と考えています。