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兵どもが夢の跡

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兵どもが夢の跡

4 - Memory 4

♥

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2024年11月04日

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3月31日 7:23 am


目が覚めるといつもより呼吸が楽で、リモコンを手に取るのがスムーズだった。今まで泥沼の中で暮らしてたのが、久々に酸素21%窒素78%二酸化炭素0.04%の大気中に放り出された気分だ。


一体、どうしたのだろう。とりあえず邪魔な呼吸器を外し、自力で起き上がる。体が軽い。意識がはっきりしている。立ち上がり歩いてみると、戦前のようにスムーズに進むことが出来た。


もしかして__


「ぺいんとさぁ〜ん…?」


申し訳なさそうな音をたてながらドアが開く。振り向くと、大きく目を見開いた3人と目が合った。驚くのも無理はない。なにせ、昨日まで衰弱しきっていた友人が、今誰の手助けもなく立っているのだから。


「えっ?!嘘…!」

「元気に…なったんですか…?」


返事として3人に微笑みかけると、しにがみくんの目から涙が溢れた。


俺は慌てて駆け寄った。泣かすつもりはなかったんだけどなぁ…



「__で、一体どうしちゃったんですか?」


しにがみくんが泣き止む前に看護師さんが来たため、4人でゆっくり話ができるようになるまで時間がかかった。

看護師さんは俺を見るなり、幽霊を見たような顔をしていたが、すぐに健康チェックを済ませすぐに担当医師を呼んだ。本当に事務的な人だ。そして、現在進行形で担当医師と何かを話し込んでいる。看護師さん、少し悲しそうだったような気がしたけど、気のせいかな…?


「よくわかんないんだけどさ」


「起きたら、めっちゃ元気だったんだよね!」


「…よくわかんないけどよかった!」


「ぺいんとさん、このまま死んじゃうのかと思いましたよ!」


しにがみくんは、俺の手を強く握って喋り続けている。対して、クロノアさんは静かだ。たまに相づちをうつ。そして、ずっと笑顔。それだけだ。

トラゾーは、険しい顔で医師と何かを話している。


「…トラゾー、何かあったのかな」


「さぁ?」


「…ぺいんと」


クロノアさんが、初めて口を開いた。


「今日は、ぺいんとのしたいことをしよう」


「せっかく動けるようになったんだし」


「ね?トラゾー」


「おう。医者に許可をもらったから、近場なら外出できるぞ」


「まじですか!?やったー!!」


手際の良さにびっくりしたが、久々の外出にわくわくしていた。(しにがみが1番喜んでいる)


「遠出は出来ないから、近くの喫茶店にでもお茶しに行こうか」


「ぺいんと以外でジャン負け奢りね」


「受けて立つ!」


これから、4人でたくさん思い出を作りたい。

遊園地へ行ったり、京都らへんに旅行行ったり、俺の実家にも招待したい。

体調という足枷がなくなった今、数年ぶりに、未来への期待に胸をふくらませていた。




__そんな願いは、無慈悲に散ってゆくとも知らずに

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コメント

1

ユーザー

なんか意味深だな終わり方

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