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兵どもが夢の跡

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兵どもが夢の跡

5 - Memory 5

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2024年11月29日

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病院から徒歩3分、昔からある雰囲気のいい喫茶店にやってきた。しにがみくんたちは常連らしく、店に入るなり店主さんと話し込んでしまった。

俺と話しているときよりも声のトーンが高い気がする。リラックスしている気がする。当たり前だが、俺よりもかなり付き合いが長いのだろう。もし俺が居なくなっても、大丈夫そうだ。


俺は案内された席に座って、メニュー表を眺めていた。レトロな料理やドリンクが並んでいる。今まであまり食べていなかったので、しっかりとしたご飯を食べるのは良くないだろう。可愛いメロンソーダでも頼もうか。

でも、このエビフライランチもいいなぁ…


「ここ、青いメロンソーダで有名なんですよ! 」


いつの間にか隣にしにがみが座っていた。正面にはクロノアさん、その横にトラゾー。


「ちょっと高めだけど、装飾が凝っていて映えるよね」


「そんなぺいんとに、青いメロンソーダを奢っちゃいまーす」


トラゾーが財布を取り出し、そう言った。申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、お言葉に甘えることにした。


それにしても、青かぁ…


「なつかしいな…」


「?何がです?」


「あ、ごめんごめん、こっちの話」


「えー!?気になります!」


3人の視線が俺を捉えて離さなかったので、目の前に置かれたメロンソーダを眺めながら、思い出話をした。


青い彼のこと

親友だったこと

いつでもいっしょだったこと

彼の好きな食べ物のこと

頼りにならないこと

笑顔が眩しいこと


兵役のこと

戦争のこと

助けられたこと

助けられなかったこと



話終わるころには、時計の短針がひとまわりしていて、空っぽのグラスが4つ並んだ。しにがみの瞳からは、涙が溢れだしていた。


「俺も戦争に参加してたけど」

「後援として動いてたから、そんな危険ではなかったんだよな」


「クロノアさんは海外出身でしたよね?」


「うん、だから、戦争とは無縁なんだ」


「しにがみは兵役とか、そんな年齢じゃなかったから…」


「__ズビッ」

「ラジオで…いつも聞いてました」

「戦争の状況」

「まさか、そんなことが… 」

「あんまりです!こんなの…」

「彼は…俺を1人にしないって言ってくれた」

「だから__」

あれ?

なんだか…眠…い…?

「だから…俺は…今日…まで…待ち続け…た」



「ぺいんとさん…?」


「大丈夫?」



…そっか


限界が、来ちゃったんだね。



「いつか…彼が…お見舞いに来てくれる」



「そう、思って…た…」




「でも…」







「彼は、いつも心の中に」













「い…た…」


そう言い残し、ぺいんとさんは倒れた。

本当に焦った、すぐに救急車をよんだ。

お会計はトラゾーさんに任せて、僕とクロノアさんはぺいんとさんと一緒に病院へ戻った。

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