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#もしも神様が居るなら
赤虎 鉄馬
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依鈴と再会してから、数日が経った。
あの日のことが、まだ夢のように感じる。
二年間、もう会えないと思っていた。
それなのに、依鈴は同じ大学にいて、しかも俺の後輩になった。
「漣くん」
後ろから声がして振り返る。
「依鈴」
「何してるの?」
「講義終わったところ。依鈴は?」
「私も」
依鈴はそう言うと、俺の隣に並んだ。
それだけで、少し嬉しくなる。
「このあと暇?」
「暇だけど」
「じゃあ、大学案内して」
「……もう入学して何日目だよ」
「まだよく分からない」
「仕方ないな」
二年前、俺が依鈴に町を案内した。
今度も俺が、大学を案内する。
そんなことを考えると、不思議な気持ちになった。
食堂、図書館、中庭。
いろいろな場所を歩いていると、依鈴がふと足を止めた。
「ここ、好きかも」
依鈴が見ていたのは、校舎の裏にある小さなベンチだった。
「何もないけど?」
「何もないからいいんじゃない?」
「……依鈴らしいな」
「どういう意味?」
「別に」
俺が笑うと、依鈴は少し不満そうな顔をした。
「漣くん、昔よりよく笑うね」
「昔?」
「二年前」
「覚えてるんだ」
「忘れるわけないでしょ」
その言葉に、胸が止まりそうになった。
「……依鈴も、俺のこと覚えてたんだな」
「うん」
依鈴は当たり前のように答えた。
「夏祭りのことも?」
「もちろん」
「じゃあ……俺が聞いたことも?」
「何?」
「来年も、ここにいる?って聞いたこと」
依鈴は少し黙った。
そして、あの日と同じように小さく笑った。
「……覚えてるよ」
春の風が吹く。
黒い髪が、ふわりと揺れた。
俺はその横顔を見ながら思った。
二年間、俺だけが覚えていたと思っていた。
でも、違った。
依鈴も、あの夏を覚えていた。
それだけで、胸の奥が少しだけ熱くなった。
コメント
1件
第7話読みました〜!再会後の二人の距離感、すごく好きです。特に「俺だけが覚えてたと思ってた」って気づきのところ、胸がぎゅってなった。依鈴もあの夏をちゃんと覚えてたんだなって思うと、時間がちゃんと繋がってる感じがして温かくなりました。ベンチの前での会話も、春の風の描写も、透明でやさしい空気が伝わってくる話でした🤍