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「死んだ。」
最初に一言を目にしたとき、信じられなかった。皇様が死ぬなんて――俺が殺したなんて、そんなこと、どう考えても信じられない。
だが、確かに目の前に広がる現実は、その言葉を証明していた。
Twitterのトレンドに「#皇様の死」が浮かび上がっている。リプライ欄には、ファンたちの怒り、悲しみ、そして恐怖が渦巻いていた。俺は震え、画面をスクロールする手が止まらない。あいつの名前が、世界中に広がり、刻み込まれていく。
皇様が所属していた事務所の公式アカウントが投稿したのは、簡潔で冷徹な報告だった。
【お知らせ】
「すめらぎサマー(皇様)の突然の死亡報告をお知らせいたします。詳しい状況については、警察が捜査を行っており、我々もできる限りのサポートをしております。ファンの皆様には深い哀悼の意を表します。」
その文を見た瞬間、全身が硬直した。リツイート数は瞬く間に増え、フォロワーたちの反応がリアルタイムで刻まれていく。
「ご冥福をお祈りします」
「こんなこと信じたくない」
「皇様が帰ってくることを願って」
「私たちの皇様が、こ早く去るなんて…」
「犯人を見つけて、絶対に許さない」
「犯人を見つけろ」
リプ欄の最初にあったその言葉に、目を奪われた。犯人を見つけろ。まさか、ファンがこんなにも早く気づいていたのか?いや、ファンに限らず、ネット上の誰もがその言葉を知っているはずだ。
どこからともなく湧き上がった怒り、悲しみ、そして「犯人を見つけろ」という声。そのすべてが、俺の心臓を締めつける。どんなに冷静を装っても、背後で迫るファンの怒号が聞こえてきそうだ。
コメントがどんどん増えていく。
「絶対に見つけ出す」
「こんなこと許せない。犯人は必ず見つけてやる」
「え?」
その中に、引っかかるリプライがあった。
「こんな殺人、普通じゃありえないよ。みんな、もう少し冷静になろう。」
最初は理解できなかった。しかし、次第にその意味がわかってきた。あのリプライは、他のファンとは違って、何かが「違う」感覚を持っているようだった。まるで犯人が誰かを探しているような…そんな不気味さがあった。
俺が犯人だということを疑いだしたのか?
その瞬間、心臓が止まりそうになった。俺が追い詰められていくのを感じた。
その後も、コメントは次々と更新され、次第に注目が集まっていく。ファン同士の情報交換が激しくなり、誰が犯人か、どこにいるのか、その話題ばかりがリプ欄を埋め尽くした。
「犯人を絶対に見つけて、皇様のために償わせろ」
「犯人は絶対に許さない」
「犯人の顔、どんなやつだろう?」
そのどれもが、俺にとっては恐怖そのものだった。隠れられると思った場所も、ファンたちのネットワークがどこまでも伸びていることを知り、逃げられない気がした。
リプライが流れる中、さらに一つの投稿が目に入る。
「犯人を捕まえたら、皆で報告しよう」
「あいつが犯人だとしたら、犯人の家の前で待ち構える」
「今すぐにでも犯人を捕まえろ」
息が詰まりそうになり、思わず目を背けた。でも、見るたびに、俺はその言葉を消すことができなかった。
あの時、俺があいつを殺した。ファンがここまで動くとは思わなかった。
このリプ欄の中で、「犯人」は認識されている。それに気づいた瞬間、背筋が冷たくなった。
「どうしよう…」
他のコメントに混じるように、俺もこっそりと一言リプライを送った。
「皇様、俺がやったんじゃない」