めめが小さな女の子の霊に、取り憑かれた。
💚「こらこら。お兄ちゃんから離れて」
『やぁよ』
女の子はめめの足を捕まえて離さない。
俺はいわゆる、視える人で、子供の頃から何度も人ではないそれらを見てきた。あまりに鮮明に見えるので、小さな頃は普通の人間と区別がつかずに、普通に話し掛けて、親に心配されたこともある。
幽霊は怖いものもいるけど、そこまで凶悪なのは稀で、この子はただの寂しがり屋の女の子。めめが病院から連れて来た。
可愛いおさげの髪の女の子で、病気で亡くなったらしい。
💚「お兄ちゃんが、好きなの?」
女の子は頷く。
🖤「阿部ちゃん、また?」
💚「うん。めめのこと、好きなんだって」
パートナーのめめは、俺が時々スタジオとかで何もない所をじっと見てたり、一人で何か話してるのを見掛けては不思議に思っていたらしい。誰にも見られてないと思っていたけど、さすがに恋人になる頃には気づかれていた。
めめは、男にも女にもモテる。
それはあっちの世界でもおんなじらしい。特に、俺たち芸能人は良くも悪くも色んな霊を引き寄せる。俺自身、怖い目にも随分、遭った。
女の子が、めめの膝の上に乗った。
💚「うーん。悪い子じゃなさそうなんだけどな」
🖤「子供?」
💚「おさげの髪の女の子。病気で亡くなったの」
女の子は俺を見る。
今はめめの膝の上に乗っている。めめのことが大好きらしい。そばかすが可愛らしい。めめといると、にこにこしている。
🖤「へえ。俺のこと知ってるのかな。今どこにいるの?」
💚「めめの膝に乗ってる」
🖤「えっ」
一瞬ギョッとしためめ。
でも、すぐに反省して、見えない女の子に優しく語りかけた。
🖤「初めまして。目黒蓮です」
この人のこういうところが好きだなあ、と思った。
次の日の朝。
女の子はいなくなっていた。
お空に行ったのか、別の場所へ行ったのか。
そこまではわからないけど、彼女にとって落ち着く場所だといいなと思う。
🖤「阿部ちゃん、あの子まだいる?」
💚「んーん、いなくなっちゃった」
🖤「そう」
💚「めめのこと、大好きだったんだね」
🖤「嬉しいな」
💚「めめは優しいね」
🖤「そうかな」
朝のコーヒーを淹れている俺を、後ろから抱きしめるめめ。これから朝食を食べて、一緒に買い物へ行く。春物を中心に見ようねって約束してる。
昨日の小さな女の子も、パステルカラーの春っぽいパジャマを着ていた。
俺はめめに似合う春物の服を想像して一人幸せな気分で微笑んだ。
おわり。
コメント
12件
ちょっと反省したw 穏やかで幸せなめめあべありがとう。 やーよの女の子も可愛くてキュン🥺
も〜まきぴよさんありがとうございます‼️大好きです‼️ このめめあべ最高‼️大好きです❤️
こういうのもよき