《数時間前》
あたしゃ、モンスターの出現を聞き、急いで騎士団を率いてナルノ町へ来た。
ギルドはもう、はっちゃかめっちゃかだったよ、大量の人が入り乱れていて….…後は大量の同じような顔が多くてびっくりだったね、最近流行になってるらしいじゃないか?
まぁ、可愛いし美しいし真似する気持ちもわかる。
ギルドに居る人々をかき分けて外に出ると建物を薙ぎ倒しながらすごい早さで移動している新種のモンスターの姿が見えたので、すぐに【プラスフィジカルアビリティ】で強化して、モンスターを追った。
新種モンスターに近づくと周りの騎士団と冒険者達が集団魔法を撃って援護してくれてたよ。
そして、いざ戦おうとした時、不思議なことが起こったんだ。
「____?」
あの化け物はその場で静止して周りを見渡し始めたんだ、あれは“まるで何かを見失った動き”をしてたね。
「なんだい?あたし達は敵でも無いって感じかい?そりゃ、女として振り向かせなきゃな」
あたしの武器はこの大剣、並みの男や冒険者には持てないくらいの重さと大きさだ。
こういうデカイ奴には良く効く、つまり……相性抜群って事さ!
「うおりゃ!」
大剣をその黒く毛深い足に振り下ろすと切り落とすまでは行かなかったが虫特有の甲殻を砕き肉を露出させるまで行き傷口からは緑の体液が飛び出て自慢の武器にかかる。
「気持ち悪いね、普通の血じゃないのかい」
しかし、その言葉が命取りだった。
『気持ち悪い』
その言葉を聞いた瞬間化け物モンスターはあたしをおぞましい目で見てきて前足で蹴り飛ばしてきた!
……本当に憎しみがこもった一撃だったよ、あたしはそのまま何個か家や建物を貫通しながらぶっ飛んで気絶しちまったのさ……
…………
……
…
「ん……あたしとした事が、油断しちまったね」
上に乗ってる瓦礫をどかして外を見ると驚愕したよ。
もしかしてあたしゃ死んで地獄にでも居るのか?ってね?
「なんだ、これは」
空には人間サイズのあのモンスターが民間人を掴んで大量に飛んでるじゃないか……
「誰か助けてー!」
「!」
掴まれながら生きていて助けを求める金髪の女の人がいてね。
あたしはすぐさまモンスターを斬り殺し、助けたんだが……
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
「いんや、良いさ、それより何でこんな事になってるんだい」
「その、私も分かりません、ただあの大きなモンスターから逃げてギルドに向かってる途中に……ぐっ、うぐぐ」
「どうしたんだい?」
その女は突然腹を抱えて苦しみ出した。
「お、お腹が……痛い……痛い痛い痛い痛い痛い痛い助けて!あが……かフッ」
「お、おい」
ヒュー……ヒューと過呼吸になり次の瞬間__
「アァァァァァア!!」
お腹が破裂した。
「っ!!」
そして、そのお腹の中にはギッシリと白いウネウネしたモンスターが詰まっていてね……
本人はまだ意識が残ってて自分の腹の中を見て絶望していたよ……
「ころ……して、わた、し……を……うつく……しい状態のままで……」
「……………………」
「____」
私はその金髪の似合う美しい顔を首ごと切り落とし__
「…………【ファイアー】」
その女の子をモンスターごと焼いた……それしか救う方法を思いつかなかった……
「すまないね……」
しかし、そんな謝ってる暇なんて無かったのさ。
「!?、あれは!?」
遠くに見えるのは黒いモヤ。
この階級になると直感が冴えててね、あれはヤバい。
あたしは全力で逃げたさ。
魔法を発動して移動速度をあげてなかったらあれはヤバかったね、その煙の正体は上に飛んでる人間サイズの奴よりもっと小さいのが軍団をなしてる姿。
走りながら【ファイアー】を撃って焼いていたけどキリがない。
____その時だよ、ユキとジュンパクに会ったのは。
「此方へ来てください!」
まぁ最初はどっかの子供かと思ってね、危ないと思って担いで逃げるつもりだったよ。
ただ、あたしが近くに来るとユキが__
「【ファイアードーム】!」
これはまた見たこともない見事な魔法でね、あたし達を結界みたいに薄い壁がドーム状に囲った後、黒いモヤがそのドームに触れた瞬間焼け消えて行くんだ。
「あんたは一体……」
「うーん………………“通りすがり”ですかね?」
黒いモヤの軍団が諦めてどこかに行った後驚いたよ。
「ユキ姉貴~だいじょう……あぁ!」
「あんたは!」
まさか国の海賊が居るなんてね。
知らなかったかい?
ジュンパクは海賊行為をする代わりに国に莫大な貢ぎ物をしていてね、あたし達、騎士団は手を出せない犯罪者だ……後でゆっくり話を聞きたいもんだね、なんでこんな奴がユキ達について来ているか。
ユキに事情を聞いたらモグリ様の所から来たって言うじゃないか、とにかく、今の状態でこれ以上あの親玉に近づくのは危険と判断してここに来たって事さ。
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