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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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それはイストリアの周囲にある魔泉を全て鎮めた記念として大々的な祭りのようなお祝い事があった次の日の朝に起こった。

朝食を摂り、宿の一室に集まりながら次はどこに行こうかとコウカ、ヒバナ、シズクの3人と一緒に地図を眺めていた時、部屋の扉がノックされる。


「はーい」

「あ、マスター。わたしが」


扉を開けるために立ち上がろうとした私を制し、立ち上がったコウカが扉へと近付く。

そうして3分の1ほど開けられた扉の隙間からは宿の従業員が顔を覗かせていた。

不安そうな顔をしていた従業員だったが、コウカが雰囲気を和らげるとホッと息を吐く。


「何でしょう?」

「あの、侯爵様の使いの方がお見えになっていて……」


――シンセロ侯爵の?

シンセロ侯爵は昨日の騒ぎにも顔を出しており、街を救ったことに対して直々に感謝を伝えられていた。

だが昨日の騒ぎが元々計画された出来事ではなかったため、それほど時間が取れずにやり取りをしたのはその一瞬だけだったはずだ。

そこから考えると、こうして彼が行動を起こしたのは不思議なことでもない。


部屋の中にいる私に顔を向けてくるコウカ。恐らく「どうしますか?」と問い掛けているのだろう。

私は一度、頷いてから立ち上がる。


「分かりました。すぐに行くと伝えてもらえますか?」


そう伝えると従業員はすぐに部屋の前から立ち去った。


とりあえず準備をすることなどほとんどないので、5分足らずで宿の受付まで向かう。

すると受付の前には燕尾服を身に纏った立派なカイゼル髭が特徴的な長身の老人が立っていた。

彼は胸に手を当てて恭しく一礼したのちに口を開く。


「お初にお目にかかります。自分はシンセロ侯爵より遣わされたセバスティアンと申しまする」

「はじめまして、ユウヒ・アリアケです」


彼がここに来た要件を聞くと、どうやら私の予想していたものとそう相違もないらしい。

つまるところ、シンセロ侯爵は領地内で活動していた私やコウカたちに対して何やら礼をするために屋敷へと招待したいらしい。

悩んだ末、私はその招待を受けることにした。


「正午ごろ、再度お迎えに上がりまする」




そうして部屋で待っていると彼が宣言した通り、宿の前に馬車がやってきた。

どうやら、あれに乗って侯爵の屋敷まで向かうらしい。

屋敷まではそう遠くないので別に乗らなくてもいいのだが、礼儀や面子などの問題もあるだろう。乗らないわけにはいかない。

ご丁寧に4人乗りの馬車が2台用意されており、別れれば全員が乗ることができるようになっていた。







オラシオ・シンセロという貴族は非常に若い。私より10歳も離れていないような人だというのに侯爵家の当主である。

案内されるがままにシンセロ侯爵家の屋敷へ入ると玄関口で当人であるシンセロ侯爵が直々に出迎えてくれた。


「よくお越しくださいました、ユウヒ・アリアケ嬢、精霊様方。まずはこうして皆様方に出向いてもらう形となってしまったことに謝罪を」

「こちらこそお招きいただきありがとうございます。私は何も気にしていないのでどうか頭を上げてください」


出会って早々、頭を下げられたことで非常に焦ったが頭を回転させて何とか言葉を紡ぐ。

だが彼は簡単に頭を上げようとはしなかった。


「いえ、私が謝罪しなければならないのはそれだけではありません。先日の大雨の日のことです。その日、私は皆様方に挨拶もせずに立ち去ったうえ、多大な迷惑を掛けてしまっていたようです」


驚いた。

まさか彼の口から彼と初めて出会った場面、決して良くない出会い方をした時の話が飛び出すとは思わなかったのだ。

そして次に彼が目を向けたのはアンヤだった。

どうやら、アンヤがシンセロ侯爵の馬車に轢かれそうになった子供を助けたことも認知しているらしい。


なら、彼に対応するべきなのは私ではないだろう。

私がアンヤに視線で問い掛けると彼女は前に出た。

40から50センチほど身長差があるアンヤとシンセロ侯爵の視線がまっすぐぶつかり合うものの、無言が続いたために少し空気が張り詰めていく。

――だがやがて彼女はゆっくりと口を開いた。


「……いい。次から気を付けてくれれば……アンヤは、それでいい」

「感謝いたします」


アンヤは彼を許した。

貴族に対する対応としては失礼に当たるかもしれないような言い方であり、実際に周囲にいる一部の侯爵側の人間からは睨み付けるような視線を感じるが、それはシンセロ侯爵が睨みを利かせたことで収まった。

私たちの立場はミンネ聖教国においては女神ミネティーナ様の巫女でもある聖女と同等とされているが、国外においては明確化されていないせいで人によって捉え方が変わってくる。

どちらの方が立場が上だとか、そういった点が非常にややこしくなっているのだ。


「さて、立ち話もなんです。皆様方の活動に対する御礼も兼ねて、シンセロ家でお食事を用意しておりますので、どうぞこちらへ」

「えっ、ごはん食べられるの!? やったー!」


場の空気を切り替えるためにシンセロ侯爵が発した言葉に対して、歓喜の声を上げたのはダンゴだ。

そんな彼女の反応に私はギョッとするがすぐに心配する必要はなかったことを悟る。

シンセロ侯爵をはじめとする屋敷の面々が無邪気に喜ぶダンゴを見て和やかな雰囲気になったからだ。

良い空気をもたらしてくれたダンゴには感謝しなければならない。




貴族の中でも上位に位置する侯爵だけあって、用意されていた食事は非常に豪華な物だった。

旅の中では到底食べられないような品質なので、私たちは失礼にならないように注意しつつもやや夢中になりながら食べていた。


「アリアケ嬢。貴女がこの国で行った活動のおかげで、人々の暮らしも元の形に戻りつつある。領民たちにも笑顔が戻った。感謝してもしきれません」

「……私はただ誰かの為に頑張りたかっただけです。だから、その言葉を頂けただけでもとても嬉しく思います」


場所を応接室に移し、そこで食後のお茶を楽しみながらシンセロ侯爵と様々なことを話す。

ただどこかシンセロ侯爵は心ここにあらずというか、何となく中身のない会話だと感じた。

仲が良くもない相手との中身のない会話ほど不毛なものはなく次第に退屈になってきたが、それを相手に悟られないように気を付ける。

そうして私が我慢していたのだがシズクは飽きて堂々と本を読み始め、ノドカはコウカに体を預けるような形で寝入ってしまっている。

残りのメンバーも話半分に聞いているだけだろう。


さて彼の話だが、感謝しているという言葉自体に嘘はないように感じられた。しかし相手の主目的はそこではないのだと思う。

そんなことを考えていると、会話相手であるシンセロ侯爵の雰囲気が僅かに変化した。


「実は今日、アリアケ嬢をお呼びしたのにはもう1つ理由があるのです」

「……理由ですか?」


まさか直球かついきなり切り込んでくるとは思わなかったので、少し反応が遅れる。

シンセロ侯爵は真剣な眼差しで私を見つめていた。


「はい。少し相談に乗っていただきたい問題があり、できれば貴女の知恵をお借りできないかと考えています」

「知恵って……侯爵様にお貸しできるほどの教養など私にはないと思いますが……」

「どのような形でも良いのです。国の外、さらには救世主という立場だからこその視点が新たなきっかけとなるでしょう」

「はぁ……そんなものでしょうか」


前の世界ではただの高校生だった私の考え方が貴族の助けになるとは思えないが、これも人助けだ。

問題というのがどんなものかは分からないが、みんなと一緒なら何かアイデアが出るかもしれない。


私の心は決まったのでその旨を相手に伝えると、シンセロ侯爵はある条件を提示してきた。


「少し込み入った話となります。この国全体を取り巻く非常にデリケートな問題なので、情報の拡散は抑えたい。精霊様方にはどうか席を外していただき、2人きりで話をしたいと考えているのですが……」


どうやらこの問題には私個人で当たらなければならないらしい。

みんなと一緒に考えられないのは辛いが、既にやると言ってしまっているので今更、無理だとは言いづらい。


「分かりました。そういうことだから、みんなは少し待っていてくれるかな」


みんなが微妙な表情を浮かべている。

私もこの子たちと離れ、見知らぬ人と2人きりなのは嫌だったが、これも仕方がないのだ。どうにかこの子たちには理解してもらうしかない。

だが思わぬ形で彼女たちは引き下がる形となる。


「お待ちくださっている間、別室にて甘味を用意させておりますので――」

「お菓子ってこと!?」

「……はい。本場のラモード王国並みとはいきませんが、どれも我が領内における一流の菓子職人が作ったものです。精霊様方にもお気に召していただけるかと」


真っ先に食いついたダンゴに侯爵様は面食らっている。

昨日祭りがあったからか、どうも今日のダンゴは食欲が旺盛だ。


「……チョコレートは?」

「勿論。ご要望とあらば、いくらでも用意させましょう」


そしてダンゴだけではなかった。大の甘党であるアンヤが食い付かないはずもない。

こうなってしまっては、姉であるあの子たちもそれに付き合わざるを得なくなるだろう。それに甘いものが嫌いな子はいないので、満更でもないはずだ。

案の定、困ったように顔を合わせていた彼女たちのうち、代表してヒバナが私に微笑みかけてくる。


「仕方ないわね。早めに終わらせて戻ってきてよ」

「うん。少しだけ待っててね」


あまり態度には出せないが、すぐに終わらせてこの子たちのところに戻ろう。

そう私は心に決めた。


そうして屋敷の少し奥にある別室に移動した私は、改めて彼と向き合った状態で椅子に腰かける。

するとすぐさま私たちの前にそれぞれティーカップが置かれ、給仕によって紅茶らしき液体が注がれていく。

その液体からは湯気が立ち昇ると共に強烈な香りが漂ってきたため、思わず私は顔を顰めてしまった。


「お気に召しませんか?」

「いえ……ただあまり慣れていなかったもので。気分を害されてしまったのなら申し訳ありません」


次第にこの香りにも慣れてきたため、あまり気にならなくなってきたが、慣れるまでは本当に辛かった。

そんな私の様子を見て、目の前に座る彼は困ったような笑みを浮かべている。


「この茶葉はこの領地で取れたものなのですが、温度が高いうちは香りがなかなか独特でしてね……好みが分かれるのですよ」


私はこれが好きなんですが、と彼はそのままティーカップに口を付ける。だが私は口を付ける気にはなれなかったので、そのまま保留させてもらった。

それに対して、特に気分を害した様子もなかった彼はティーカップをソーサーの上に戻すと息をつく。

そして背後にいた老紳士へと振り返った。


「セバスティアン、人払いを。できればあなたも外してくれ」

「閣下……? しかし、密室で2人きりというのは……」

「この案件がどれほど重要なのかは理解しているだろう? 彼女にもこうして1人で赴いてもらっているのだ、こちら側だけ例外などというのでは筋が通らない。……アリアケ嬢もそれで構いませんか?」


少し心配ではあるが、私は頷いておく。

するとその様子を見ていた老紳士も渋々引き下がった。

そしてその老紳士を含め、部屋の中及び廊下の外から人の気配が消える。

本当にこの人は2人きりで話をするつもりのようだ。


「早速お話を……と言いたいところですが、少しリラックスしましょうか。とはいえこのような男と同じ部屋に2人きりとなっては、淑女であるあなたにとっては気が休まらないかもしれませんが」


こちらを気遣うような彼の言葉には嘘はないように思えた。

彼は本心からその言葉を紡いでいる。


「勘違いであったら申し訳ありませんが、あまり堅苦しい場に慣れてはいらっしゃらないようでしたので」

「……やっぱり分かりますか?」

「ええ。ですが私はそれが悪いことだとは思いません。勿論、他人と関わる以上は最低限の礼節は必要であると思っていますが、礼儀だけを重視していても良い方向に向かうはずもありませんから。あなたとは形式的な会話をしたかったわけではない、この国をより良くしていくためにそのお力を貸してもらいたいだけなのです」


――少し、この人のことが分かったかもしれない。


「真面目なんですね」

「……よく言われます。面白味のない男だとも」

「そんなことはないと思いますよ。少なくとも私からの心象は悪くありません。こんなこと、普通は言うべきじゃないと思いますけどね」


この人からの気遣いだ。少しは砕けてみてもいいだろう。


「ですからあなたもそんなに堅苦しい話し方はやめてください。侯爵様に畏まられていると、さすがにリラックスできません」


少し悪戯心を込めてそう告げてみると、彼は少し呆けたような表情をする。

かと思えば、すぐに取り繕って私と同様にその顔に笑みを浮かべた。


「ありがとう、ユウヒ嬢。まだ若いあなたに気遣われるのは、何とも申し訳ないな」

「先に気遣ってくれたのはあなたですから。私はそれをお返ししただけに過ぎません」

「……我が国の社交界にもあなたのような淑女がもう少し多ければ、僕も独り身ではなかったのかもしれないな」


聞き間違えだろうか。

思わず私は彼に聞き返してしまう。


「え……?」

「いや、失礼。今のは忘れてもらえるとありがたい」


この人は誰とも婚姻を結んでいないのか。

貴族というものはもっと若くから婚約者がいて、結婚するものだと思っていたので少し意外だった。

特に性格に問題があるわけではないだろうし、家格も申し分ない。寧ろ基本的には彼が選ぶ側だろう。

だがこのことばかりを考えていても仕方がないので姿勢を正した彼に倣い、私も姿勢を正すと少し真面目な面持ちで彼は語り始める。


「ユウヒ嬢はこの国の内情をどの程度知っているのだろうか」

「……すみません、あまり詳しいことは……」


私が知っていることと言えば貴族主義が主流派となっているため、一般市民にとっては少し息苦しい国であることだが、それを貴族である彼の前で言うのは憚られた。


「こんな回りくどい聞き方をしても仕方がないな……少し聞き方を変えよう。この国では貴族主義者が大きな力を持っているが、それは知っているだろうか」

「え……」


まさか彼の方から直接その話が出るとは思わなかった。

虚を突かれるような形となった私は固まってしまう。


「意地の悪い質問のように感じてしまったのなら申し訳ない。だがこの問題こそがあなたに力を貸してほしい事柄なのだ」

「……変えるつもりですか、この国を」


もはや疑う余地はないだろう。

彼が領民を大切にできる貴族であることは最初に出会ったあの雨の日から知っていたことなのだ。

そして今日知った、真面目であるという彼がこの国の現状を黙って見ていられるはずがないということも分かる。


「変えなくてはならないと思っている。国が末永く繁栄していくためには、貴族も民も健全な形で存在していなければならない。我々貴族の生活は民によって支えられている。だから我々は民を守り、導く義務があり、領地の運営によって彼らにとっての安寧を保っていく必要があるのだ」


冷静なようで、次第に熱が入り始めているシンセロ侯爵。

彼はティーカップを掴むと、それを掲げた。


「この茶葉も民が一から育てたものだ。この陶器だって。我々貴族と民の繋がりはこんな身近なところにも存在している。彼らは決して蔑まれていいような存在ではない。そんな簡単なことすら分からない者がこの国には多すぎる」


本当に呆れるほど真面目な人だ。そんな考え方をしていれば、息が詰まって仕方がないだろうに。

彼の熱弁は止まるところを知らない。


「陛下も今の体制には随分と弱腰だ。これでは誰がこの国を治めているのかが分かったものではない」


やっぱりこの話は私には荷が重すぎた。

上位階級としての教育も何も受けていない私では、何もアドバイスできるようなことがない。

彼は別の視点からの意見を求めているのかもしれないが、それでもこの国のことをもっと知っておかなければ何も言えないだろう。

――最初から分かっていれば、もう少し勉強してから来たのに。


「あの……私って貴族でも何でもなくて、参考になることは言えないと思うんです」

「それでも構わない。寧ろ貴族ではない人間や外部の人間からの意見も教えてほしいと考えている」


そう言われてしまうと何も言わないわけにはいかなくなってしまった。

そうして考えに考え抜いた答えを紡ぎ出す。


「そうですね……大きな枠組みから変えようとするのもいいですけど、もう少し小さなところから地道にやっていくのもいいんじゃないですか? あなたの考えってあまり領民の方にも理解を示されていないと思うんです」


この前、轢かれかけた子供の親御さんだって本当にこの世の終わりかのような表情で許しを乞うていた。それに昨日の祭りも、彼がいる間はどこか緊張感が漂っていたのだ。

急いては事を仕損じる、ということわざがある。

彼に当てはまるかは分からないが、少し落ち着くことも必要だとは思ってしまう。


「まずは領内の人とよく話して、お互いの理解を深めていきましょう。それで結果を残せば、自然とその貴族主義派の人たちだって関心を向けてくれるようになるはずです」


きっと貴族主義派の貴族のうち、誰もが民を蔑むためにその派閥に属しているわけではないのだと思う。

健全な発展を遂げる道がどちらであるかがはっきりとすれば、鞍替えする家だってあるのではないだろうか。

貴族というのはそう簡単にはいかないのかもしれないが、素人が出せる意見としてはこの程度の物しかない。


「貴重な意見に感謝する。だがしかし、それでは遅い……今も苦しんでいる者がいるんだ」


そう言われてしまっては弱い。

でも根付いてしまった考えを覆そうとしても、一朝一夕でどうにかなるものではないだろう。

それをどうにかしようとすれば、それこそ革命など武力に頼るか、外部から大きな力で働きかけてもらうしかなくなる。

でも内政干渉は良くないことだと聞くし、革命なんて以ての外だ。穏便に済ませられること以上に良いことなど存在しない。

可能性が高いものと言えばミンネ聖教団だ。

彼らの教義は簡単に言うと、愛に基づく行動をしましょうという驚くほどに寛容なものなので利己的な干渉はまずしない。

だがそれでも、健全な形の改革とはあまり言いたくはない。


少し困ってしまったので、私は目の前にある紅茶で喉を潤すことにした。

どうやら彼が言っていたことは本当のようで、少し冷めるとあの強烈な香りは少しマシになっていた。

――うん、少し冷めると意外と美味しいかもしれない。


「この大きな問題を解決するためとはいえ……ユウヒ嬢には本当に申し訳ないことをしてしまうと思っている」

「え……?」


神妙な表情で急に何かを言い出した彼の発言の意図が読めなかった。

――だが次の瞬間、私の視界が強烈な歪みを発し始める。


「全ては僕の責任だ。決して不幸にはしない。だからどうか……身勝手な行いを許してほしい」

「な、にを……」


平衡感覚が掴めなくなり、力の入らなくなった指からカップが転げ落ち、陶器の割れる音が部屋に響く。


そのリフレインによって脳が揺さぶられる感覚を覚えながら、私の視界は闇に閉ざされていった。

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