ただ、ただ闇だけが永遠に広がる。
周りを見渡すも、そこには当然闇しかない。
助けを呼んでも誰も来ない。
叫びは闇に消えてゆくだけ。
それならば、と思い走って走って、走り続け出口を探す。
しかし結果は同じ。
闇…闇。
この世界には闇しかないのだと、光など求めても無駄なのだと、そう悟る。
そして目を閉じた。
(またこの夢…)
目を開けるとそこには闇ではなく青く染み渡っている青空が見えた。
俺は体を起こし、青空を目に焼きつけるように眺めた。
早くあの夢を忘れたかったからかもしれない。
(どうしてこんな夢を…)
俺はココ最近…いや、もうずっと昔からこんな夢を見る。
昔という曖昧な表現をしているのは、いつから見始めたのかもう忘れてしまったからだ。
だが絶対…ほぼ毎日見てると言っても過言ではないだろう。
人間は普段の生活で起きた出来事や脳に蓄積したあらゆる情報を整理するために夢を見ると言われている。(Google先生より)
脳内に溜まった過去の記憶や直近の記憶が結びつき、それらが睡眠時に処理され、ストーリーとなって映像化したものが「夢」だ。(以下同文)
だがあんな夢、俺の記憶から結びついてできたとは到底思えない。
ただ闇だけが広がる世界だなんて誰が見た事あるんだ?
「…いや、もう見ているのかもな」
立ち上がり、裏路地にある自分の家…これが家だと言えるのかは分からないがとにかく家っぽいものから出る。
そして夢とは反対に出口と真逆の方向に進んでゆく。
表の人間は光の世界、裏の人間は闇の世界へ。
…この世界は光と闇で構成されている。
表の世界は、人が賑わい優しさや思いやりが溢れる。…まぁこれは俺の想像だがな。
なんせ俺は裏の世界のもの。光とは無縁だ。
あるものは事件を起こし、あるものは人殺しをし、あるものは戦争を起こす。
そんな残虐な世界に俺は住んでいる。
住む家も着るものもボロボロ、食事もまともに出来ない。
だがなんとしてでも、何をしてでも生きていかなければならない。
盗みを犯してでも。
(いっそ死んだ方が楽なのかもな)
何度もそう思った。
だけど実行できずにいたのだ。
意気地無しの…昔の自分には。
だがもう疲れた。疲れたのだ。
この無意味な人生を歩むくらいなら、残酷な世界で生きていくくらいなら、いっそ死んだ方がいい。
状況が昔よりも悪化していたからだろうか、もう生きる気力も何も無い。
誰も助けてはくれない。
助けを求めてもみな見て見ぬふりをするから。
薄暗い、ある山に続く道をただひたすら歩き続く。
ふと俯いていた顔を上げ、正面を見るとそこにはある看板あることに気づいた。
【⚠️この先危険⚠️これより先はイビト山の大穴に続く道です。大変危険ですのでそれでも先に進む方は自己責任でお願い致します。】
「へぇ…大穴、か…山から転落死でもしようかと思ったが大穴の方が一瞬で死ねそうだなぁ…ハハッ」
我ながら狂った発言だと思う。
疲れのせいだからかもしれないが。
「もう少し…か」
坂をのぼり、でこぼこの道を進み──そしてたどり着いた。
なぜか怖くはなかった──いや、怖かったんだろうがもう感覚や思考が死んでいたんだろう。
「これでやっと…」
やっと楽になれるのだ。
今までのことを振り返ると本当にくだらない人生だったと思う。
俺は親に捨てられた。
捨て子だったのだ。
みな助けてはくれなかった、だからひとりで必死に生きてきた。
別に親に対してそこまでの感情は無いが…心残りと言えば…。
「生まれて14年…まともに親の愛情を貰えなかったなぁ…何が気に入らなかったんだろうなぁ…ポロポロ」
考えるだけで涙が溢れてくる。
愛が欲しかった。優しさ、思いやりに触れてみたかった──心残りはそれだけだろう。
だがもう後戻りはできない、俺は罪人だ、盗みを犯した。
このまま戻ってもきっとそこには地獄しかない。
俺は目をつぶり、そして、
「生まれ変わったら幸せになれますように──」
そう言い残し目の前の大穴に落ちた。
ふわっと宙に浮き、これから死ぬんだなという感覚が湧いてくる。
最後に見えたのはあの清々しい青空だった。
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【次回へ続く…】
(੭ ᐕ)੭ア-イ!久しぶりの短編ですね笑
今回はUndertale要素をほとんど入れられませんでしたが、次回からはガッツリアンテ世界に入るのでお楽しみに!!
あ、そうそう…主人公の外見、名前はおそらく次回公開すると思います!
…毎度のことながら投稿頻度は死んでるのでかなり期間が空くかもです…💦(久しぶり過ぎて書くスピードが遅くなってしまったんですよね…あとリアルの事情とかでやばいです😇)
とりあえず最後まで見てくれてありがとうございます!続きも見てくれたら嬉しいです!
*˙︶˙*)ノ”マタネー
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