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3人で亜里砂さんの様子を後ろから観察する。
彩香さんは、おみくじを手にして広げた。
そして見て、顔をしかめてる。
更にうーん、と考えている様子。
少なくとも、あまりいい卦が出た感じではない。
「どうだった?」
取り敢えず近づいて、彩香さんが声をかけた。
「凶だったのだ……」
やっぱり。
「参考までに、書いてあることはどうだった」
「努力しないと失敗するそうなのだ」
それって言い方は違うけれど、今までのおみくじと同じ意味ではないだろうか。
「その通りなのだ。私の座右の銘が否定されたのだ」
僕が声に出していないことに返事するくらい、落ち込んでいる様子だ。
「ちなみに座右の銘は何なんだ?」
「『果報は寝て待て』と『棚からぼたもち』なのだ」
おいおいおい。
それじゃ神様も怒るだろう。
「まあ元気出せ。元々ここのおみくじは凶が多いんだ。だから救済策もちゃんと神社側で用意している。
でもその前に、このおみくじの中身をスマホで撮っておけ。神様からの有り難い言葉なんだから、忘れないようにさ」
「そうするのだ」
亜里砂さん、反論する元気もない模様。
ちょっと可哀想かな。
「写真を撮ったらこっちだ」
先輩は赤い箱の前に案内する。
「ここのおみくじは、実は凶でも悪い訳じゃない。書いてあることを守れば凶も変化するという、むしろ小吉あたりより良い卦なんだ。
おみくじの内容をよく読んだら、折りたたんで結んでこの箱に入れる。この箱に入れたら、自分の望みを願いながら箱の上の矢を強く握る。そうすることで凶は吉運になる。まあ、その辺はそこの説明に書いてあるけれどさ」
どれどれ、と思って僕達も箱を見てみる。
凶みくじ収め箱と書いてあって、説明は先輩が言ったとおりだ。
「本当だ。凶も開運や吉運になるんだね」
そんなものがあるのか。
「よし、やっておくのだ」
亜里砂さんはおみくじをきっちり折って結び、箱の中に入れる。
そして上にある矢の太い部分を思い切り握り、目を瞑る。
結構長いこと握りしめて、そして目をあげ一礼する。
「よし、これで大吉相当になった筈なのだ」
おいおい。
「3箇所の神様から努力しろと言われているんだから、まあ頑張れよ」
「私なりの努力をするのだ」
微妙な言い方だ。
なお、よく見ると同じような赤い箱はそこここにある。
亜里砂さんと同じように祈っている人もいる。
どうやらここの神社のおみくじ、本当に凶が多いようだ。