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刻の碧律

116 - 第12話:人親子と初めてのフラクタル料理

2025年04月18日

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第12話:人親子と初めてのフラクタル料理



🚶‍♀️ シーン1:迷い込んだ親子


昼のにぎわいが一段落した頃。

塔のふもとにある《碧のごはん処(ミドリ)》の暖簾が、ふわりと揺れた。


入ってきたのは、見慣れぬ母子。

母親は戸惑った様子で店内を見回し、

子ども――6歳ほどの男の子はキョロキョロと目を輝かせている。


「す、すみません……ここ、観光案内に出てなくて……」


タエコは厨房から顔を出し、にっこり笑った。


「そりゃそうや、ここ“碧族専用”やもん。でも――ま、座ってき」





👦 シーン2:子どもだけが反応する


母が遠慮がちに椅子に座る間、男の子はカウンターにぴたっと張りつき、湯気に手をかざす。


「わぁ……これ、光ってる!」


すずかAIが静かに報告する。


「非碧族体内に微弱な碧素共鳴反応を検知。遺伝的適性の可能性あり」


タエコは眉を上げ、さりげなく炊飯端末に指を滑らせた。


「ほな……特別メニュー、いっとこか」





🍙 シーン3:フラクタルおにぎり、調整版


《FRACTAL_COOK_MODE=HUMAN_ADAPT》《BOND_TRACE=ON》《ENERGY_LIMIT=SAFE》


青白く光る碧素米に、通常より刺激の少ないフラクタル結合を組み合わせ、 中にはほんのり甘い碧昆布。


握られたおにぎりは、光りすぎず、香りだけがふわりと立ち上がっていた。


「はい、おにぎり。あんた専用やで」


男の子は両手で包み込むように持ち、ぱくっとかじった。


「……おいしい……」





🌸 シーン4:未来へと続くひとくち


母親は微笑みながら、タエコに頭を下げた。


「なんだか、ありがとうございます……。子どもが喜んで食べるなんて、久しぶりです」


タエコはカウンター越しに、おにぎりをもう一個差し出す。


「うちのごはんは、誰でも食べられるようにしてんねん。たまには、そういう日もええやろ」


すずかAIの音声が、穏やかに記録を残す。


「非碧族対象、反応記録ログ保存。可能性、微細に観測」


男の子は、ふとタエコを見上げて言った。


「おばちゃん……また来ていい?」


「もちろんや。ほな、次は“碧素カレー”でも出しといたる」





未来の扉は、たった一口のおにぎりから、開かれるのかもしれない。

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