テラーノベル
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数学の小テスト、72点。
見慣れたはずの数字が
目に貼り付いてなかなか離れない。
「前は満点だったのに」
先生は困った顔で答案を返してきた。
次の模試も、
社会で思いがけず大きなミスをした。
89点、次は78点。
資料集のグラフを見ていたはずなのに、
頭には一本も線が浮かばなかった。
kr「なんでだ…」
夜遅くまで何度も復習しているのに
ただひたすら頭がぼんやりして
ミスばかりが増える。
家に帰っても気持ちは晴れなかった。
母親は結果だけを示してくる。
「最近どうしたの。やる気があるなら、点が上がるはずでしょ?」
kr「……別に」
「うそをつかない」
「ちょっと、気を抜いた?」
どんな返事も、親の圧力には
すぐにねじ伏せられるだけだ。
父親も、
「本当にこのままじゃ志望校は厳しいぞ」
と表情を曇らせたまま
リビングから見ている。
夕食後もまた問題集を積まれ、
間違い直しと再テスト。
全てが
「失敗した自分」
への罰にしか思えなかった。
翌日も成績表を返されるたび、
横で友達が
「勝手に俺の点数見んなよ〜!」
なんて騒いでいる。
トラゾーは社会で90点台を出して、
みんなにからかわれている。
ぺいんとは英語で好成績。
pn「すごくね?」
と談笑が弾んでいた。
kr「前は自分も、みんなと同じくらい点が取れていたのに」
ふとそんな思いが喉元までこみ上げるが、
声にしたところで何も変わらない。
机の上、赤ペンで埋められた
自分の答案用紙を何度も睨みつける。
なぜミスをしたのか分からない。
なぜ暗記したはずの言葉が
飛ぶのか分からない。
「自分は、壊れてしまったんじゃないか」
そんな考えすら頭をよぎる。
自室で参考書を開くも、
文字がにじんで内容が全然頭に入らない。
目をこすり、溜息だけが重なる。
親の失望、教師の呟き、自分への苛立ち…
努力が裏切られるたびに、
kr「もう、何をどう頑張ればいい…??」
自分でもよく分からなくなっていく。
夜更け
机に突っ伏したまま眠ってしまい、
朝になってもう一度参考書をめくる。
だが繰り返すたびにミスは増え、
次のテストもまた得点が下がっていく。
「 ” どうして ” 」
焦りで追い詰められる。
けれど答えはどこにもなかった。
授業中、ノートと現実世界の間で
自分だけが宙ぶらりんみたいだった。
みんなの輪はますます自分には遠く、
親の冷たい目だけが、
背中にいつも突き刺さっている。
手のひらから、
優等生の自分がじわじわ
こぼれ落ちていくのを
止めることが、出来なかった。
コメント
7件
すげぇ、最後の 『手のひらからじわじわ こぼれ落ちていく』って 表現本当何摂取したら 思いつくんですか〜 天才すぎる!
まじで天才すぎる 毎日の楽しみです✨ 続き楽しみにしてます!
いや、めっちゃいい!! いや、本当に神やなぁ!! 続きが楽しみ過ぎて夜しか寝れねぇw